🎯 概要

1893-1895年にサンクトペテルブルクで刊行された全3巻・約20,000語のモンゴル語・ロシア語辞典であり、シュミット(1835年)、コワレフスキ(1844-49年)に続く「ロシア・モンゴル学第三世代」の集大成である。編纂者ゴルストゥンスキー(1831-1899)はカザン大学で教育を受け、サンクトペテルブルク大学教授としてモンゴル語・満洲語・チベット語に精通した。レッシング辞典(1960年)が登場するまで、ロシア語圏最大規模のモンゴル語辞典であり続けた。

📖 詳細

「古典モンゴル語」の純粋な記録

刊行年(1893-95年)はモンゴルがまだ清朝支配下にあり、社会主義革命以前の時代である。20世紀のロシア語借用語・社会主義的新造語を一切含まず、遊牧社会と仏教文化に根ざした伝統的語彙をそのまま記録する。カルムイク方言(オイラト)やブリヤート方言の語形も系統的に収録し、キリル文字化以前の方言の姿を伝える貴重な証言である。

三世代の系譜

シュミットの辞典(約600ページ)→コワレフスキ辞典(約15,000語)→本辞典(約20,000語)→レッシング辞典(約30,000語)という拡張の系譜にあり、各世代が前世代の語彙を吸収しつつ増補した。Google Books・HathiTrust・Internet Archiveで全文がデジタル公開されている。

現代での位置づけ

中期モンゴル語から現代モンゴル語への移行期のミッシングリンクを埋める資料として、歴史言語学・方言史研究に不可欠な文献である。