🎯 概要

17世紀のモンゴルの年代記で、グーシ・ルブサンダンザン(Guush Luvsandanzan)によって著された。『元朝秘史』に次ぐモンゴル第二の重要歴史文献とされ、チンギス・ハーンの神話的祖先からリグデン・ハーン(1634年没)までのモンゴル史を包括的に記録している。

📖 詳細

著者と成立

著者グーシ・ルブサンダンザンは歴史家であり高位の僧侶であった。作品は1649年から1736年の間に完成したと考えられている。

構成と内容

  1. 神話的系譜部: チンギス・ハーンの血統を伝説的なインド・チベットの支配者に結びつける。
  2. 中心部: 『元朝秘史』の282章中233章をほぼ逐語的に引用しつつ、さらなる詳細を追加。「チンギスの知恵(Chingisiin Bilig)」と呼ばれるモンゴル貴族向けの倫理規範も含む。
  3. 後期部: 元朝の簡潔な歴史と、北元朝の崩壊までのより詳細な記述。

文学的・歴史的価値

『元朝秘史』にない追加の詩、口承伝統、歴史的洞察を提供する。古典モンゴル語より形式張らない、口語的影響を受けた言語使用が特徴である。本質的に教訓的な作品で、貴族に倫理と国家統一の維持を教えることを目的としている。

発見と保存

1926年にドルノド県でジャミヤン公爵によって手書き原本が発見された。この貴重な写本は現在モンゴル国立図書館に保存されており、2010年にアジア太平洋地域記憶遺産、2011年に世界記憶遺産に登録された。

翻訳と研究

1955年にチャールズ・ボーデンによって英訳され、中国語を含む複数の言語に翻訳されている。世界中の学者による広範な研究の対象となっている。