🎯 概要
19世紀後半に発生した、中国の古典小説や演劇をモンゴル語で語り直す口承文芸。名称の「ベンセン」は中国語の「本子(ベンズ:冊子)」に由来し、文字通り「本に基づいた物語」を意味する。馬頭琴の伴奏と共に語られ、特に内モンゴルで発展した。
📖 詳細
内容と特徴
『三国志演義』『水滸伝』『西遊記』などの漢籍をベースとしながら、モンゴル独自の叙事詩(トゥーリ)の技法や言い回しが融合されている。英雄の物語だけでなく、複雑なプロットと多数の登場人物が織りなす長い物語が特徴。
演出と伴奏
語り手(ウリゲルチ)は、馬頭琴を弾きながら一人で何役もの声を使い分け、時には歌い、時には演じる高い技術が求められる。物語の重要な場面(戦闘や別れ)に応じて旋律が変化し、聴衆を物語の世界へ引き込む。
言語的側面
中国との交流が盛んだった地域で生まれたため、モンゴル語の中に中国語の語彙が混じる独特の言語表現が見られる。これは境界領域における文化融合の産物であり、伝統的な英雄叙事詩とは異なる独自の文学ジャンルを形成している。