🎯 概要

モンゴル帝国の創始者チンギス・ハーンを「国家の祖神」および「テングリの神格化」として崇める信仰体系。特に内モンゴルのオルドス地方にある「チンギス・ハーン廟」を中心に、世襲の守護者たちが数世紀にわたり祭祀を継承してきた。

📖 詳細

オルドスの八白宮(ナイマン・ツァガーン・ゲル)

チンギス・ハーン没後、彼の遺品(天幕、鞍、弓矢、火打石など)を収めた「八つの白いゲル」が祭祀の中心となった。これらは「主人の幕営(オルド)」を意味し、物理的な遺体ではなく「魂(スルド)」が宿る場所として崇敬されている。

世襲の守護者「ダルハド」

チンギス・ハーンの祭祀を代々専門に司る「ダルハド」と呼ばれる部族が存在する。彼らは兵役や税を免除された特別な地位を与えられ、13世紀から現代まで、失われることなく儀礼の手順や祝詞(黄金の書:アルタン・ビチグ)を守り続けてきた。

スルド(魂の旗)

チンギス・ハーンの戦旗である「黒いスルド(黒い魂の旗)」は、軍神としてのハンの威厳を象徴する。これは白または黒の馬の尾で作られ、国家に危機が迫る時に力を発揮すると信じられている。現代のモンゴル国においても、チンギス・ハーンは民族再生の象徴として、政府庁舎の正面に像が設置されるなど、最も重要な精神的支柱となっている。