🎯 概要
1986年にインディアナ大学内陸アジア研究所から刊行された英語圏最大の現代モンゴル語辞典(約25,000語、約15,000用例、全900ページ)である。編纂者ハンギン(1921-1989)は内モンゴル察哈爾出身で、蒙疆政権秘書官を経てアメリカに渡り、1961年に「モンゴル協会」を設立してモンゴル人民共和国の国連加盟にも貢献した学者・外交的活動家である。レッシング辞典が伝統文字の古典語を扱うのに対し、本辞典はキリル文字表記の現代モンゴル語(1960-80年代)に特化した最初の大規模英語辞典である。
📖 詳細
社会主義時代の言語記録
社会主義から民主化への転換(1992年)以前の語彙を包括的に記録する。政治用語・ロシア語借用語・科学技術用語が充実し、専門分野記号(pol., econ., tech.等)により文脈を即座に把握できる設計が実用的である。
ハンギンの遺産
北海道帝国大学農学部出身(1938-41年)という日本との接点を持ち、冷戦期のモンゴル研究において学術と外交を架橋した稀有な存在であった。
現代での位置づけ
民主化後の語彙変化には未対応だが、1992年以前の文献読解に不可欠な唯一の英語辞典として今も広く使用される。