🎯 概要
14世紀初頭にペルシアの政治家・歴史家・医師ラシード・アッディーン・ハマダーニー(1247頃-1318)がモンゴル・イルハン朝のガザン・ハーンとオルジェイトゥの庇護の下で著した記念碑的な歴史・文学作品である。世界史を書く最初の主要な試みとされる。
📖 詳細
著者ラシード・アッディーン
ハマダーン出身のユダヤ人家庭に生まれ、後にイスラムに改宗した。1304年からガザン・ハーンの宰相を務めた。ガザン・ハーンからモンゴル人の歴史編纂を委託され、後にオルジェイトゥの下でモンゴル人が接触したすべての民族の歴史を含むよう拡大された。
成立と制作
1300年から1311年頃に執筆され、主要部分は西暦1314-15年(イスラム暦714年)に完成した。イランのタブリーズという多文化都市で制作され、ラシード・アッディーンが監督した写本工房には、モンゴル帝国内外の様々な地域の芸術家が雇われていた。
内容構成
- チンギス・ハーンからガザンの死までのモンゴル人の歴史
- アダムからの普遍史
- アラブ人、ユダヤ人、モンゴル人、フランク人、中国人など様々な民族の歴史
- 地理概説(予定)
史料と方法
ラシード・アッディーンは多様な史料に依拠した:文書記録、モンゴル宮廷に仕えた人々からの口述、ウイグル語、中国語、チベット語、インド語、トルコ語、アラビア語、ユダヤ語、キリスト教文献からの翻訳テキストなど。特に『元朝秘史』に類似したモンゴル語テキストや、現在失われた『アルタン・デプテル(黄金の秘冊)』を参照した。
挿絵芸術
豊富な挿絵で知られ、ビザンティン、中国、その他のイスラム伝統の要素を取り入れ、ペルシア絵画における新しいスタイルの出現を示している。
現存写本
ラシード・アッディーンの生前に作られた多数の挿絵入り写本のうち、わずかな部分のみが現存する。アラビア語版の重要な断片はロンドンのハリーリ・イスラム美術コレクションとエディンバラ大学図書館に所蔵されている。エディンバラ大学図書館の断片(1307-14年)は、この時期のアラビア語版の最大の現存部分で、70葉の挿絵入りフォリオを含み、イランにおける初期イスラム書籍芸術の最も重要でよく保存された例の一つとされる。最初期世代の写本のペルシア語版2点がイスタンブールのトプカプ宮殿図書館に保存されている。