🎯 概要
1741年に清朝乾隆帝の庇護のもと、チャンキャ・ロルペードルジェ(1717-1786)が監修して編纂したチベット語・モンゴル語対照術語辞典であり、チベット大蔵経論疏部(Tanjur)のモンゴル語翻訳における標準語彙を提供する「用語統制システム」として設計された。般若波羅蜜多、中観、阿毘達磨、律、因明、声明、医方など11の専門分野に分類された仏教術語を体系的に収録する。
📖 詳細
翻訳の制度化
単なる語彙リストではなく、チャンキャは序文で翻訳方法論を明示的に論じ、恣意的な訳語選択が教理解釈の混乱を招くことを警告した。翻訳者はこの辞典の規則に従うことが期待され、翻訳実践を「組織化された制度的事業」へと転換させた。9世紀チベットの『翻訳名義大集』の標準化モデルを18世紀モンゴル語翻訳に継承した事業である。
清朝多言語辞書シリーズとの位置づけ
『御製清文鑑』(1708年)、四体清文鑑、五体清文鑑と並行して編纂された多言語辞書群の一翼を担い、清朝が多言語統治を制度化する過程の重要な構成要素であった。
現代での位置づけ
前近代における大規模翻訳プロジェクトの用語管理実例として、現代の翻訳研究・辞書学・知識組織論にとって重要な歴史的資料であり、デジタルアーカイブ化により術語データベース構築への応用も期待されている。