🎯 概要
「十善福経白史(Arban buyan-tu nom-un čaɣan teüke)」とも呼ばれるモンゴルの歴史・政治理論書である。仏教的視点から国家統治の理想像を描いた作品であり、モンゴルの法制史・思想史において極めて重要な位置を占める。
📖 詳細
成立背景と年代
かつては13世紀末にフビライ・ハーンによって著された、あるいはその治世に成立したと考えられていたが、現代の学術研究によれば、現存する形態での編纂は16世紀(アルタン・ハーン期などの仏教再興期)になされた可能性が高い。ただし、13世紀当時の古い史料や伝統を基盤としている。
内容の特徴
単なる歴史年代記ではなく、国家統治の理論書(ハンドブック)としての性格が強い。チベットの「政教二法の原則(Joint Twofold System of Governance)」をモンゴルの文脈に適応させ、宗教界と世俗界の調和を説いている。
史料的価値
チンギス・ハーン崇拝(八白室)の起源をフビライ・ハーンに帰す記述があるなど、モンゴル帝国の儀礼や統治思想を知る上で不可欠な史料である。また、後世のモンゴル年代記における歴史記述のパラダイムを形作った。