🎯 概要

中国の正史二十四史の一つで、元朝(モンゴル帝国の中国支配期)の公式歴史書である。1368~1370年に明朝の皇帝の命により、宋濂(1310-1381)を中心とする公式歴史局が編纂した。チンギス・ハーン(1162-1227)から最後の元朝皇帝トゴン・テムル(1333-1370)が1368年に大都(現在の北京)から逃亡するまでの歴史を記録している。

📖 詳細

編纂過程

1369年に『元史』編纂局が開設され、宋濂、王褘(1321-1372)を中心とする16名が元朝の歴史編纂を開始した。最初の159巻を急速に完成させ、1370年に残りの51巻を追加して、全210巻を完成させた。わずか1年余りという短期間での編纂は、大元朝が滅亡したことを強調し、明朝の建国を正当化するという政治的動機によるものであった。

構成

  • 本紀(47巻): 元朝の皇帝および元朝以前のモンゴル大ハーンの生涯を詳述
  • 志(58巻): 社会経済史、法制度、慣習を詳細に説明
  • 表(8巻): 年表
  • 列伝(97巻)): 時代の重要でない皇帝や著名人の伝記

史料的価値

モンゴル帝国と元朝に関する最も包括的な中国語史料の一つである。モンゴル統治下の中国の行政、社会、経済、文化に関する詳細な情報を提供する。ただし、短期間での急速な編纂のため、一部に誤りや矛盾も指摘されている。

アクセス

現代では、Chinese Text Project(ctext.org)などのデジタルプラットフォームで全文が公開されており、研究者や一般読者が容易にアクセスできる。