モンゴル料理の代表格といえば羊肉である。それも特別な事情がある場合を除き、食されるのはラムではなくほとんどマトンのみだ。モンゴルには、成長しきっていない動物を食べる習慣はない。

モンゴルで一般的に飼われている家畜は、馬、牛、ラクダ、羊、山羊の五畜であり、これらはいずれもモンゴル料理の材料になる。モンゴル国、内モンゴルのいずれにおいても、また都市部、遊牧地域を問わず、羊の次に好まれるのが牛肉である。馬肉も好まれるが、身体を温める効果があるとされ、夏場の食用には適さないという。また、内モンゴルでも馬は食されるが、一部の地域ではタブーとされる。ラクダ、山羊の肉はさほど好まれない。

都市部では豚肉、鶏肉、魚などを食べることもある。特に内モンゴルの都市部では豚肉は日常的に食材として利用されている。ただし、鶏肉や魚はどちらかというと高級食材であり、普段はめったに口にすることはない。そのため、ご馳走というイメージを持つ人もいれば、食べつけないので好まない人もいる。ただし、缶詰の魚は比較的手に入りやすいようだ。なお、モンゴル国においても内モンゴルにおいても、スープには豚肉を使いたがらない。

魚が好きなモンゴル人でも、イカやタコなどの軟体動物、エビやカニなどの甲殻類は苦手である。市場ではドイツ製のキャビアなどが売られているが、魚卵も食べられる人は少数派のようだ。