【ボーズの作り方】 モンゴル料理の代表格ともいえる、「ボーズ」について説明する。これは小麦粉の生地でひき肉を包んで蒸したものだ。作り方は中華料理の小籠包とほぼ同じである。

生地の作り方と具については前回の「ビトゥー・ホール」の項で説明したので、ここでは主に包み方と蒸し方について説明する。

包み方には色々なバージョンがあり、主に以下の4通りに分類できる。(分類名の命名は筆者による。)

・巾着包み
・編み上げ包み
・花包み
・巾着包み変型

最も一般的なのは巾着包みで、円錐型に包んで上に巾着のように襞をよせて包む。下記のページでは、この巾着包みによる小籠包の作り方を動画で見ることができる。

http://jp.youtube.com/watch?v=Ny18eMZNP-Q(皮の作り方)
http://jp.youtube.com/watch?v=-LDDlMXWnnM&feature=related(包み方)

どの包み方でも、必ず上の部分を一箇所だけ閉じずに残しておくのがポイントだ。包んだボーズは蒸し器に入れて蒸す。蒸気が上がってきたところでセットして約20分蒸す。蒸しあがったら蓋をとって、蒸し器や鍋の蓋、うちわなどで扇ぐこと。お皿に盛って出来上がりだ。

ボーズの食べ方だが、手でつまんで食べるのが通である。ボーズとは、具から染み出した熱々の肉汁を味わうのが醍醐味なので、まず一口かじってから汁をすするが最も美味しい食べ方なのだ。昔、内モンゴルの西ウジュムチン旗に滞在していたときに、生まれて初めて本物のモンゴル式ボーズを食べたのだが、「ちゅっと汁が出て美味しいもんだ」と感じたものである。もっもと、このときは皆は箸で食べていた。私の記憶では、内モンゴルでは手づかみより箸で食べることが多いようである。だから、フォークや箸で食べても特にマナー違反というわけではない。ただ、その際には熱い汁をこぼしてしまったり火傷をしないように注意。

お好みで調味料をつけて食べてもよい。モンゴル国ではケチャップをつけて食べることが多く、内モンゴルでは黒酢などをつける。日本に暮らしているモンゴル国の出身者の中には、醤油をつけて食べている人もいた。

世界的には、中央アジア一帯から西アジアにかけて、ボーズにそっくりの料理が分布している。中華料理の小籠包がそうであるし、チベットにはモモという料理がある。これはネパールにも伝播していて、とてもポピュラーな料理となっている。ネパールのモモはカレー味のたれを付けて食べるのが特徴で、材料もヒンドゥー教徒が多い国なので牛肉は用いない。最近では日本のインド料理レストランでもモモを食べられる店が増えつつある。ネパール人が経営している店であっても看板に「インド料理」を掲げているところが多いからである。ウイグルやウズベクでも類似の料理を作るが、マントゥと呼ばれている。おそらく中国の蒸しパンのマントウ(饅頭)が語源だと思われるが、全く別の食べ物である。