富山県国際伝統医学センターは、チベットで購入した「四部医典タンカ」の全80点を保有している。完全なセットとして保有するのは世界でもイギリスの大英博物館などで数少ないという。

『四部医典(しぶいてん)』とはチベット医学の聖典であり、チベット語で著されたものでまだ日本語訳は存在しない。チベット仏教では仏像、物語、風景をタンカに描き、仏教を分かりやすく図解するという伝統があったが、この伝統をうまく利用して精緻な描写によって医学的な内容を解説したものが描かれるようになった。つまり「四部医典タンカ」とは『四部医典』の内容を図解したもので、17世紀頃から組織的に描かれるようになったとのことだ。これを80枚のセットとして集めたものが『四部医典タンカ全集』である。

以下のサイトでは、その「四部医典タンカ」の全80点の画像をオンラインで閲覧することができる。
http://www.toyama-pref-ihc.or.jp/tanka/

モンゴル医学はチベット医学そのものではないが、非常に密接な関係にある。うろ覚えで恐縮だが、たしか『四部医典』のモンゴル語訳も存在し、日本で影印本が出版されていたと思う。