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Month: January 2006

書評(1)

最近出版された、宮紀子著の『モンゴル時代の出版文化』(名古屋大学出版会, 2006. 1)を読んでみた。 従来の通説では、元の時代は少数の庶民的・通俗的な書物が刊行されたのみで、出版文化は盛んではなかったと考えられてきたが、むしろそれを裏返すような事実が続々と挙げられている。筆者の考証学、文献学的な素養に裏付けられた、斬新な視点での時代分析には感嘆させられる。史料としての価値だけでなく、モンゴル語研究を進める上でも参考になる点が多い。 これだけ内容の濃い本を読んだのは久々である。ちょっと値ははるが、情報量を考えると十分モトが取れる本だと思う。

昭和初期のモンゴル語入門書

夜中に眠れないので漫然とネット検索をしていたら、古本屋のサイトでモンゴル語関係のちょっと珍しい本が売られているのを見つけた。 「蒙古語四週間」神谷衝平著 大学書林 昭和17年 500円「蒙古秘史」中華書局 1956年繁体中国語の本 500円「標準蒙古語会話」小島武雄 昭和13年 500円「日蒙会話練習帖」大学書林 昭和49年ニ版 300円 「これはお宝だ!」とばかりに、衝動的に注文フォームに住所氏名を入力送信して、4冊すべて購入を申し込んでしまった。すでに時刻は午前5時を回っていたと思う。 なにぶんにネットの情報なので、「実はもう売り切れ」というのを危惧していたが、幸い翌朝お店から確認のメールが届き、注文を受け付けたので当日中に発送するとのこと。まとめての注文なので、送料は340円のみでいいそうだ。送料込みで計2040円、なんとも良心的な値段である。 今回購入した書籍のうち、特に昭和17年刊の『蒙古語四週間』などは、どうやら縦書きのモンゴル語で文法事項を説明したものらしく、現在ではなかなか手に入らない貴重なものである。 今朝もう一度その古本屋のサイトを見てみたら、昨晩購入済みの本はさっそく目録から削除されていた。すばやい対応だ。モンゴル語関係の書籍は私がごっそりと買い占めてしまったのでもう無いが、別の趣味を持つ人にとってなにか掘り出し物があるかもしれない。参考までにURLを挙げておく。 へそまがりほんや http://gallerytoku.hp.infoseek.co.jp/index.htm ��追記>購入した本が届いたが、昭和17年刊の『蒙古語四週間』は期待はずれだった。縦書きのモンゴル文字は表紙と最初の数ページの文字の説明だけで、中身はほとんどローマ字表記されたモンゴル語とその日本語での解説である。ローマ字は、伝統的なモンゴル語学でよく用いられるモンゴル語の音声表記(音韻表記?)のようだ。それでも、発音記号を今日のモンゴル語の発音を比較すれば何か新たな発見があるかもしれないし、いずれにせよ当時のモンゴル語の概要を知る上では役に立つ資料といえよう。

モンゴル語研究論文リスト(1)

『言語研究』第1~50号に掲載されたモンゴル語関係の論文 服部四郎,「蒙古語文語の起源について」, 『言語研究』(第3号)P1, 1939.Haenisch E., Manghol un Niuca Tobca’an., 『言語研究』(第3号)P89, 1939.野村正良,「蒙古語喀喇泌中旗方言に関する若干の覚書, 『言語研究』(第9号)P80, 1941.達喇古●尖,「發思巴字興中州音韻」, 『言語研究』(第9号)P112, 1941.野村正良, 「海外蒙古言語学会近況」, 『言語研究』(第9号)P113, 1941.Haenisch, Erich. Worterbuch zu Manghol un Niuca Tobca’an (yuan-ch’ao Pi-shi), Geheime Geshichte der Mongolen., 『言語研究』(第5号)P77, 1940.山本謙吾, 「ツングース・蒙古諸語における名詞語幹形成語尾‐riについて」, 『言語研究』(第14号)P49, 1949.野村正良, Remarks on the Diphthong〔wa〕in the Kharachin Dialect of the Mongol Language, 『言語研究』(第16号)P126, 1950.野村正良, Supplementary Notes and Additions to Remarks […]

モンゴルの書籍(佛教大学蔵書)

京都市にある佛教大学の図書館の蔵書をOPACで検索してみたところ、意外とモンゴル関係の蔵書が充実している。いったいどんな人が集めたのだろうか。 ちょっと面白そうなのを見つけたのでメモしておく。 C. R. Bawden, Tales of King Vikramāditya and the thirty-two wooden men : Mongol text and translation (Śata-piṭaka series ; Indo-Asian literatures ; vol. 13), (Mongol-piṭaka ; vol. 3), New Delhi(International Academy of Indian Culture), 1960 蔡志純, 范玉梅撰, 蒙古、、東郷、土、保安、达斡彌族文化志 (中華文化通志 / 中華文化通志編委会編 ; 3-023), 上海人民出版社, 1999 Б. Я. Владимирцов, Bodhicaryāvatāra / C̦āntideva ; […]

変な日本語に聞こえるモンゴル語

エヘン、オホン ehe n uhna (彼の)お母さんが掘る。アハン、ウフン aha n uhne (彼の)お兄さんが亡くなる。イッヒッヒー ih hii hii! 空気をたくさん入れろ。エヘヘー eh hee 雛形となる模様すげぇクチでんなぁ~ suugee egchideen naa! お姉さんにミルクをくっつけなさい。バガ、テメー、アホー baga temee avah uu? 小さいラクダは要らんかね?

モンゴル語の授業

大学生を相手にモンゴル語を教えることになった。ボランティアとはいえ、下手に間違ったことを教えてしまっては大変なので、責任は重い。 もともとこの授業はモンゴル佛典研究会のオプションのようなもので、研究会への参加を希望する初学者のためにモンゴル語の初歩を教えるというのが趣旨とのことだ。 最終的には、研究会での講読会に十分ついていけるだけの読解力を養うのが目標だが、講読会で使用しているのは、おそらく清朝の頃(正確な成立年代は不明)にチベット語からモンゴル語に訳されたと思われる手書きのモンゴル文字によるテキストだ。これをわずか1年間の隔週の授業で読みこなせるようにするというのは、はっきりいってかなり無理がある。こちらとしても、ある程度の基礎までは教えることはできるが、それから先は本人次第と言わざるを得ない。 今日はとりあえず、どんな感じで授業を進めて欲しいか、学生の意向を聞いてみた。幸いなことに、すでに独学で初級モンゴル語の入門書を読んでいるとのことだ。それならば話が早い。独学族が学生なら、こちらの説明の仕方が多少未熟でも、かなりの線までいくかもしれない。 とはいえ、ちょっと困ったことが判明した。研究会の顧問の先生からは、キリル文字は必要ないからモンゴル文字のモンゴル語を教えてくれと依頼されていたのだが、本人はむしろモンゴル文字ではなく、キリル文字のモンゴル語を覚えたがっているようなのだ。読みかけた入門書も、キリル文字モンゴル語のものなので、文法事項はそっちで説明して欲しいのだという。 研究会の方針も尊重しなければならないが、モンゴル語学習者として、キリル文字のモンゴル語が読めるようになりたいと思うのは当然のことだろう。ちょっと悩んだ末、その入門書を教科書として利用し、キリル文字のモンゴル語とモンゴル文字のモンゴル語を比較する形で授業を進めていくということで話がまとまった。まだ私自身、うまく教えられるか不安だが、ベストを尽くそうと思う。

外部フォント・ファイル(2)

Web上で表示させるフォントを外部フォント・ファイルとして指定する方法があるらしいということは以前に述べたが、具体的な方法についてはまだ調べている途中である。 まず、IEで認知されるというEOTフォントについて調べてみた。Microsoft社のWEFTというツールを使えば、TrueTypeフォントからEOTフォント(つまり、拡張子が.eotのファイル)が作成できるらしい。 WEFTの説明およびダウンロードのページは以下のURLである。http://www.microsoft.com/typography/web/embedding/weft3/default.htm 実際の使用例として、以下の《三國演義》というサイトを見つけた。http://rtk.web.infoseek.co.jp/ ユニコード(UTF-8)で日本語と中国語のバイリンガル表示を実現しており、表示フォントの指定にはEOTフォントを使っているようだ。 この《三國演義》の「関連用語解説」を見たところ、「現在のところ、WWW埋め込みフォントの形式としてはMicrosoftが提唱するEmbedded OpenType(EOT)とBitstreamが提唱するPortable Font Resource(PFR)が有名ですが、どうやらPFRの方は消え行く運命にあるようです。」との記述がある。 すると、将来的にはIE以外のブラウザもEOTに対応してくれるのだろうか。いずれにしても、現時点ではNetscapeやFirefoxなどのブラウザで外部フォント・ファイルを指定するためには、PFRフォントのファイルも作成する必要があるようだ。 PFRフォントの作り方も調べなければならないが、とりあえず今日は疲れたので、この辺で。。。

モンゴルへの送金方法

モンゴル国の友人を結婚式に招待することになった。日本ビザが取れ次第こちらに連絡してもらって、往復の航空チケット代を送金する手はずになっているが、まだなかなか連絡がない。 海外に送金する場合、郵便局の小為替が便利だが、あいにくモンゴル宛ては取り扱っていない。そうなると、小切手か銀行送金しかない。トラベラーズチェックは無記名のものを送れば換金可能だが、無記名のままで盗難・紛失した際には補償されないというのが建前になっており、絶対安全とはいえない。 ネットで情報を漁ったところ、日本橋にある駿河銀行の東京支店(銀座線三越前駅)でモンゴル向けの送金を扱っているという。提携しているウエスタンユニオン銀行の提携銀行で受け取り可能とのことだ。 さっそく調べてみると、モンゴル国内にもいくつも提携銀行があった。http://www.westernunion.com/info/(FIND AGENT LOCATIOをクリックして、Mongoliaを選択) 友人の住所は行政区域としては首都ウランバートル市内だが、飛び地になっているので、ウランバートルの中心からバスで2時間ほどのところにある。ありがたいことに、友人の住んでいる街にも取り扱い窓口がある。 しかも、こちらからの入金後、数分後には現地で受け取ることができるそうだ。手数料が送金料として4,000円、現地での受け取り手数料1,500円で、計5,500円かかる計算になるが、送金額が大きい時にはこのぐらいはやむを得ないだろう。 とにかく、便利な時代になったものである。

外部フォント・ファイル(1)

スタイルシートを使ってWeb表示させるという方法は非常に便利だが、ちょっと指定ファイルを書き換えただけで、とたんにレイアウトがくずれてしまい、悪戦苦闘するはめに陥ることがあるのが難点だ。 現在作成中のモンゴル語情報のサイトも、スタイルシートでUTF-8のエンコードを指定すると、レイアウトが部分的にくずれる。とはいえ、デフォルトのEUC-JPだと、キリル文字モンゴル語の表示がブラウザによってはうまくいかないようなのだ。 そこで調べてみたところ、スタイルシートにURLを書き込んで、フォントの指定を外部ファイルにするという方法があることが分かった。http://jp.selfhtml.org/css/eigenschaften/schrift_datei.htm これならば文字の領域を限定してエンコード指定ができるので、記事の部分だけユニコード表示表示するということも可能だろう。 eot と pfrという二つの種類のファイルをアップロードして、URLを指定しておけば、IEおよびネットスケープのブラウザ側でWebフォントとして認知してくれるらしい。 ということは、蒙古文字(モンゴル語の縦書き文字)でのユニコードによるWeb表示も夢ではないはずだ。蒙古文字特有の縦書きで左から右への改行という表記をWebで実現する方法については、すでに蒙古語レイアウトWeb表示の中で検討ずみである。記事中ではフォント指定の方法が最後の問題点として残るとしていたが、外部フォント・ファイルという方法を使えば一挙に解決となるはずだ。 忘れないように急いでメモ書きとして書いたので、多少読みづらい文章だが、ご容赦願いたい。

モンゴルの仏教説話集(1)

【シッディ・キュル】 13世紀に成立されたとされるモンゴルの仏教説話集。インドの『シッディ・クール』がイラン高原、チベットを経てモンゴルに伝わり、土着化したもの。邦訳書には、吉原公平・訳 『蒙古シッディ・クール物語』(ぐろりあ・そさえて 1941)があり、R.H.Busk による英訳本(1873)を底本としているらしい。その他、以下の書籍が刊行されている。 Kalmückische Märchen. Das Märchen des Siddhi-kur; oder, Erzählungen eines verzauberten Todten : Ein Beitrag zur Sagenkunde auf buddhistischem Gebiet (ed. Jülg, B. Julg, Leipzig, 1866(カルムイクに伝わる「シッディ・キュル」のテクストとドイツ語訳。巻末にカルムイク語彙集を収録) Mongolische Märchen-Sammlung. Die neun Märchen des Siddhi-Kür nach der ausführlichen Redaction und die Geschichte des Ardschi-Bordschi Chan. (Jülg, B. Innsbrück. 1868) “The Siddhi Kur” (Tales […]