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Month: January 2009

モンゴルの旧正月はいつ?

モンゴルではツァガーン・サルと呼ばれる旧正月が盛大に祝われる。ただ、このツァガーン・サルの日程であるが、少なくとも一年前にならないと分からないらしい。毎年、占星術師がチベット仏教起源の占星術の理論に基づいて計算して翌年のツァガーン・サルの日取りを発表することになっている。 ところがモンツァメ通信社が発信した情報によれば、今年のツァガーン・サルの日程について、モンゴル国の仏教の中心であるガンダン寺が発表した日付とTs.ダシツェレンという占星術師の主張する日付が約1ヶ月食い違っていて議論になっているのだという。http://www.mongoliadirect.com/content/view/3425/601/ 知り合いのモンゴル人に質問したところ、Ts.ダシツェレン氏はシャル・ゾルハイという流派の占星術師なのだそうだ。シャル・ゾルハイとは私も初耳だったのだが、シャルとは黄色を意味し、ゾルハイとは占星術を意味するので、文字通りに訳すならば黄占星術といったところか。このシャル・ゾルハイはフビライ・ハーンが大都(現在の北京)に遷都したときに漢地にもたらされて普及したものだという。 モンゴルの宗教事情は、チベット仏教に加えて、シャーマニズムやアニミズムなどの土着的な要素を持つ宗教が複雑に絡み合って複雑なのである。しかも長い間社会主義体制だった歴史もあるので、いわゆる唯物主義もそれなりに浸透していて、意外と信仰心は薄いように見受けられる。今までに知り合ったモンゴル人を観察した限りでは、純粋に宗教的な意味での信仰心は日本人と同程度、ただしけっこう迷信好きといったところか。 さて、かんじんのツァガーン・サルの日取りだが、さっきのモンゴル人の説明では、一部の人を除いて大抵の人はガンダン寺の発表に従うだろうとのことだった。

「四部医典タンカ」

富山県国際伝統医学センターは、チベットで購入した「四部医典タンカ」の全80点を保有している。完全なセットとして保有するのは世界でもイギリスの大英博物館などで数少ないという。 『四部医典(しぶいてん)』とはチベット医学の聖典であり、チベット語で著されたものでまだ日本語訳は存在しない。チベット仏教では仏像、物語、風景をタンカに描き、仏教を分かりやすく図解するという伝統があったが、この伝統をうまく利用して精緻な描写によって医学的な内容を解説したものが描かれるようになった。つまり「四部医典タンカ」とは『四部医典』の内容を図解したもので、17世紀頃から組織的に描かれるようになったとのことだ。これを80枚のセットとして集めたものが『四部医典タンカ全集』である。 以下のサイトでは、その「四部医典タンカ」の全80点の画像をオンラインで閲覧することができる。http://www.toyama-pref-ihc.or.jp/tanka/ モンゴル医学はチベット医学そのものではないが、非常に密接な関係にある。うろ覚えで恐縮だが、たしか『四部医典』のモンゴル語訳も存在し、日本で影印本が出版されていたと思う。

バンシとラビオリ

今日はちょっと軽い話を・・・。モンゴルにはバンシという料理があるが、これはいわゆる水餃子である。玉ねぎのみじん切りと羊のひき肉を具にして作るのがモンゴル流だ。 アルトーシというモンゴルの友人がうちに滞在していた頃のこと。おしゃべりをしていたら、バンシを作るときいちいち包むのがめんどうだという話題になった。モンゴルには「餃子の皮」なんてしゃれたものは売られていないので、作るとしたらまず自分で小麦粉をこねなければならない。冷凍バンシも売っていないことはないが、割高なのであまり使う人はいない。 趣味で週末に作るならともかく、毎日のお惣菜として作るのだから大変だ。しかも彼女は仕事を持っている身で、朝早く出かけて夜帰ってくるのもかなり遅い。大変なのは炊事だけではない。洗濯も手洗いだし、掃除をするにも掃除機などというものはないのですべて手作業だ。 しかも、アルトーシがバンシを包むと、家族や親戚に形が犬のうんこみたいと文句を言われるのだという。ボーズを作るときはかなり器用にすいすいと包んでいたのだが、なにぶんバンシはひとつひとつが小ぶりなので大変なのだそうだ。 そんなわけで、私が日本人の浅知恵を出して、100円ショップから餃子包み器を買ってきてプレゼントしてみた。「あら、そんな話まで覚えていてくれたの」とちょっとびっくりしていたが、まんざらでもない様子。 試しに、さっそくそれを使ってバンシを包んでみたが、どうも包み器に生地がくっついたり、具がはみ出たりとうまくいかない。これはあんまりよくないんじゃないかと思い、ふとアルトーシを見たところ、「これは便利!」と露天商のサクラみたいな声を出しながら手際よく上手に包んでいった。 さて、包み器で作ったバンシは、ゆで上がったものを見ると巨大なラビオリのようであった。それでも彼女はかなりご満悦。ついでに別の日にはラビオリの作り方も伝授した。生地をのして具を乗せて、上からまた生地を乗せて、ルレットまたはナイフで切るだけなので、バンシよりははるかに効率的だ。アルトーシもこれは簡単だし楽でいいといって喜び、日本語で「オモシロイ」を連発しながら作っていた。今頃はモンゴルでも時々、ラビオリもどきのバンシを作っているのだろうか。

モンゴルペディア

自由参加型のモンゴルに関するオンライン百科辞書サイト、モンゴルペディアというサイトを見つけた。http://wiki.ecm-outsourcing.com/ 規約に従って誰でも記事を追加作成することができる。現時点では1,799件の記事が登録されており、各カテゴリーは概説、歴史、人物、教育・科学技術、社会・政治、スポーツ、経済・産業、エンターテイメント、法規、外国語によるモンゴル紹介に分かれている。 上記サイトのうち、言語(モンゴル語)カテゴリーのページは以下である。http://wiki.ecm-outsourcing.com/index.php?title=%D0%A5%D1%8D%D0%BB_%D1%88%D0%B8%D0%BD%D0%B6%D0%BB%D1%8D%D0%BB

内モンゴルのチベット学と仏教

大正大学の綜合佛教研究所では、2008年9月から半年間の予定で、中国政府および日本の文科省が共同でモンゴル佛典研究会参加を目的として派遣したエルデニバヤル教授の受け入れを行っている。同教授は内モンゴル大学モンゴル学学院に在籍する教授で、内モンゴルにおけるチベット学、仏教学の権威だ。また、教授クラスの学者のなかでも稀少な、博士課程の修了者に対する博士号授与の可否を決定する権限を与えられた人物でもある。 近々、このエルデニバヤル教授による講演会が大正大学で行われる予定である。 ************************************「内モンゴルにおけるチベット学と仏教の研究」 講師:大正大学綜佛客員研究員 額爾敦白音(エルデニバヤル)     内モンゴル大学モンゴル学学院教授日時:平成21年2月4日(水) 14:00~17:00場所:大正大学綜合佛教研究所 研究室Ⅰ(4号館1階)参加:無料 大正大学綜合佛教研究所のホームページは下記。http://www.tmx.tais.ac.jp/sobutsu/

モンゴル語研究文献はどこにある(8)

では、いよいよモンゴル国にある図書館の紹介に入ろう。モンゴルの総合情報ポータルサイトであるOllooの記事によれば、モンゴル国内には350ヶ所の図書館が存在するという。このうち、主な図書館へのリンクを集めたページとしては以下のものが便利だ。 American Center for Mongolian Studieshttp://webs.banjig.net/listdweb.php?lc_id=65Banjig Вэб лавлахhttp://www.mongoliacenter.org/mnlibrary/index.php?option=com_content&task=view&id=27&Itemid=40 上記のリンクを参考にしながら、各図書館について詳しく紹介していくことにする。ただし残念ながら、モンゴル国の図書館のホームページにはリンク切れのページや外部からのアクセスが不可能なものも少なくない。 Улсын Төв номын сан(モンゴル国立中央図書館)http://www.mnlibrary.org/ (アクセス不能?) 国立国会図書館の林明日香氏が行った調査によると、2004年現在での蔵書数は350万冊(マニュスクリプト200万冊を含む)で、そのうちチベット語の資料が120万冊である。同図書館に対するインタビューでは、モンゴル国内で出版された図書の大部分は収集できているとのことだ。現在、同図書館が所蔵しているモンゴル語資料のすべての書誌データは、マニュスクリプト資料も含めて電子化されており、館内のコンピュータから検索することができる。ただしインターネットによる外部からのアクセスは不可能だ。2001年までに整理された図書の目録“Монголын үндэсний ном зүйн бүртгэл мэдээллийн сан I”(モンゴル国内書誌登録情報)がCD-ROM で販売されている。(出典:アジア情報室通報 第2巻第3号) Монгол Улсын Үндэсний номын сан(モンゴル国立民族図書館)http://www.nationallibrary.mn/ まだサイト構築中のようだが、蔵書検索のページも作られており、将来的にはOPACによる検索も可能になるものと思われる。モンゴル学に関連するキリル文字モンゴル語、伝統文字モンゴル語、チベット語、サンスクリット語の資料を非常に豊富に所蔵する。同図書館からは、1921~2000年に出版されたキリル文字モンゴル語、伝統文字モンゴル語の書籍情報を含むCDが出版されている。 Үндэсний төв архив(民族中央アーカイブ)http://www.pmis.gov.mn/archives (リンク切れ) 1674以降のモンゴル史に関連する文献資料が保存されている。 というわけで、続きはまた明日。

モンゴル語電子書籍

モンゴルにも、日本の青空文庫(http://www.aozora.gr.jp/)のような電子図書館が存在する。モンゴル語の学習、研究にも役立つと思うので、主なものをいくつか紹介しよう。いずれもモンゴル語書籍を無料でダウンロードして閲覧することができる。 ELibrary.mnhttp://www.elibrary.mn/ 口承文芸、児童書、文学書、小噺、歴史書に分類されている。同サイトで閲覧数が多かった上位3点は、上から順に『元朝秘史』、『モンゴル詩選』、『トンガラグ・タミル(清きタミル川の流れ)』である。トンガラグ・タミルはモンゴル革命前後の民衆の人間模様を描いた作品で、モンゴル国ではかつて映画も製作されており、根強い人気を保っているようだ。 Онлайн Номын Санhttp://www.onlinebook.mn/ ほとんどが英語書籍だが、モンゴル語書籍も閲覧することができる。モンゴル語のものは児童書、文学書、歴史、コンピューター、翻訳書に分類されている。C言語の入門書などもあり、全362ページがPDFで閲覧できるというのもすごい。 Biirbeh.COM.http://www.biirbeh.mn/ 詩や小説などが電子化されている。作者別に分類されており、キーワードで検索することもできる。ホームページの読者が自分の作品を投稿することもできるようだ。 国際児童電子図書館http://mn.childrenslibrary.org/ アメリカのサイトのようだが、48以上の各言語によって書かれた児童書を閲覧することができる。モンゴル語で書かれた児童書を閲覧するには、Энгийн хайлтのページに入って中央のプルダウンメニューでМонгол хэлを選択すればよい。試しに検索してみたところ、237冊(2009年1月現在)の書籍が電子化されていた。

モンゴル語研究文献はどこにある(7)

京都大学図書館http://www.kulib.kyoto-u.ac.jp/modules/search/index.php?content_id=1 キリル文字モンゴル語、内モンゴルで出版されたモンゴル語書籍、モンゴル関係の邦書までを含めると、膨大な冊数が収蔵されている。ここの図書館でしか閲覧できないというものはさほど多くないが、全体的に見て非常に充実している。京都大学にも言語学科があるためか、モンゴル語研究書籍、辞書はかなり揃えがよい。さらに、同図書館の谷村文庫には、『朝鮮司訳院日満蒙語学書断簡』という珍しい書物が収められている。新村出による解説付きで、京都帝国大学所蔵の板木により新刷刊行されたとのことだ。 一橋大学附属図書館http://www.lib.hit-u.ac.jp/service/index_Ja.html 同図書館には外国雑誌センターが設置されている。これは、日本国外で出版される学術雑誌を体系的に収集し全国的な利用に供することを目的に、文部省の特別予算措置を受けて設置されたもので、9つの国立大学附属図書館が外国雑誌センターの指定を受けているのだが、このうち人文・社会科学系は一橋大学附属図書館と神戸大学人文・社会科学系図書館が指定を受けている。以前、一橋大学附属図書館でモンゴル国の新聞を定期購読しているという話を聞いたことがあるのだが、筆者がOPACにより検索した限りでは探し出すことができなかった。 三康図書館http://www.f2.dion.ne.jp/~sanko/ 約25万5千冊の蔵書を誇り、仏教、宗教系の専門書が豊富だ。入館は有料で1回100円。モンゴル関係の書籍は特に豊富というわけではないが、近代(大正から昭和初期)のモンゴル語教科書、辞書などが何冊か収められている。 成田山仏教図書館http://naritasanlib.jp/ 近代のモンゴル関係の書籍が豊富で、中にはかなり珍しい書物も含まれている。特にモンゴル仏教関係の学術誌が充実しており、モンゴル語関係の書籍や論文も他の図書館では見かけないような珍しいものが散見される。ここの図書館はちょっとした穴場かもしれない。

蒙古学文献信息中心

中国内モンゴル大学の国家教育部民族学科蒙古学文献信息中心(モンゴル学文献情報センター)には、国内外の約11万冊のモンゴル学の文献が収蔵されている。 この他にも、ヨーロッパの一部の国が保有するモンゴル語古文書のレプリカ800余点が収蔵されており、これには清代の朱字木刻本『御制蒙古文甘珠尔经』、1721年にパリで刊行された『帖木儿武功记』、1725年にパリで刊行された『鞑靼世系』、1735年にパリで刊行された『中华帝国和中国属鞑靼地区地理、历史、年代记、政治和自然志』、清代の朱字木刻本のモンゴル語版『红楼梦』等が含まれる。 211プロジェクトの際には更に大規模な資金投入が行われ、新たに『清代蒙藏回部典汇』、清代の竹筆を使って金粉で書かれたモンゴル語版『能断金刚般若波罗密多经』、パスパ文字による数多くの古文書等の数多くの貴重なモンゴル学文献が加えられた。 さらに『御制蒙古文甘珠尔经』等の重要なモンゴル語古文書のコーパス化を行い、検索とオンラインでの閲覧を可能にしている。また、モンゴル学の文献目録の作成等の活動も積極的に行い、高水準の文献情報リサーチサービスを提供しており、5年間のうちの国内外からの来訪者は5万人を数えている。 <参考URL>http://www.imu.edu.cn/ghb/211/211-5b.htm (抄訳)

四大活仏の消息

2009-01-22 | 未分類

モンゴルの活仏といえばジェプツンタンパ・ホトクトだが、今はどうなっているのだろうとふと気になって調べてみた。すると、非常に面白い記事を発見することができた。 http://d.hatena.ne.jp/ragaraja/20081029/1225260981 うーん、これは文句なしに面白い。内モンゴルの活仏が台湾にまで流転していたとは、これは確かに初耳であった。その他にも、そもそもこれってみたいな疑問をネットでの情報を駆使して分かりやすくまとめてあり、なるほどと納得させられる。 よく見ると、ほとんどの情報はテングリノール(http://www.interq.or.jp/neptune/amba-omo/)の記事が元となっているようだ。私のような素人には整理された膨大な情報の山を見ただけでは猫に小判だったが、改めてテングリノール恐るべしである。 ところで、ダライ・ラマが「転生は自分の代で終わりにしたい」と述べていることについてだが、そんなふうに簡単に「や~めた」ということはできるのだろうか。転生をやめるとしたら、解脱して涅槃に入るぐらいしか方法はないはずだが、仏教的にはダライ・ラマは一応、観音菩薩の化身ということになっている。菩薩とは、すでに如来クラスの悟りの境地に至っているが、あえて菩薩の地位に留まり、この世に生まれてきて有情の救済に当たるという有難い存在なのだ。いや~、やっぱり菩薩が涅槃に入っちゃうというのは教義的にマズイんじゃなかろうか。確かに、生身のひとりの人間が少年時代の十分に物心もついていないうちに認定されて、それからの一生を活仏として過ごさなければならないというのは、ある意味で人道的に問題があるような気もするが。