バランス外交
社会主義時代のモンゴルは、過度な旧ソ連寄りの政策をとってきたため、衛星国と揶揄されるほどだった。しかし、1980年代後半に旧ソ連で起こったペレストロイカを受けて、モンゴル国内でも民主化が高まり、1990年代に入って社会主義体制が崩壊した。 当時のモンゴル社会は、政治的にも経済的にもあらゆる面で旧ソ連に依存していたため、大混乱に陥らざるをえなかった。過去のそうした苦い教訓を活かして、モンゴルではすでには90年代から「バランス外交」という政策がとられてきている。つまりどれか一つの国とだけ緊密な関係を保つのではなく、自国に影響を及ぼしえる全ての国とバランスよく外交関係を樹立していくといった方針だ。 モンゴルが国境を接しているロシア、中国という二つの大国とは、そこそこ良好な関係を保ちつつ、これらの国による過度の干渉を避ける意味合いもあって、主にアメリカ、日本、ヨーロッパ諸国との外交関係に力を入れている。 さて、昨今の世界情勢を鑑みると、他の各国も一斉にバランス外交に乗り出しているように思える。アメリカは先日、日米同盟の深化を提言しており、その直後にはインドの常任理事国入りを支持する旨を表明した。ところが、今日行われた米中会談では、中国の覇権化をけん制する発言がなされる一方で、世界の二大経済大国としての関係強化が謳われたようだ。 先月来日したインドのシン首相と菅首相との会談では、経済連携協定(EPA)の締結などといった合意がなされたが、シン首相は会談で「インドは(中国との間に)国境問題はあるが、それをうまくマネジメントして進めようとしている。中国とは良好な関係を築いていきたい」と表明している。インドにとって、巨大市場と生産力を持つ中国は最大の貿易相手国でもあるし、ようやく落ち着いてきた国境問題にあまり波風を立てたくないというのが本音だろう。中国の側も対インド外交を重視しているようで、現にインドの常任理事国入りには中国も賛成を表明しているし、12月には中国の温家宝首相によるインド訪問が予定されている。 お隣韓国でも、すでに去年インドとの間に経済協定を締結している。今日、韓国の李明博(イ・ミョンバク)大統領と中国の胡錦濤(フー・チンタオ)国家主席との間で行われた会談では、国際社会での孤立を恐れる中国と、経済的な結びつきを重視する韓国の利害が一致し、関係修復のための積極的な話し合いがなされたという。従来の日米韓の軍事的な結束を維持しつつも、経済的な影響力を持つ国々との連帯を強化する構えのようだ。 ドイツもまた、レアアース問題を発端として、対中国貿易への依存から脱却するためにロシア、ウクライナ、カザフスタンとの関係強化を模索しているようだ。日本も同様にロシア政府と共同で、カザフスタンのウラン鉱石をロシアで燃料に加工し、シベリア鉄道経由で運ぶ新ルートを開設する予定だ。このルートさえ確保されれば、中国を経由しなくてもモンゴルの産品を日本に輸入する道も開かれるかもしれない。 しかしながら、ロシアとの間には根深い北方領土問題があり、まだ乗り越えなければならない課題が山積している。つい先日もロシア大統領の北方領土訪問が問題となったが、再熱した領土問題への対応如何によってはその道も閉ざされてしまうかもしれない。それどころか、今日行われた中国とロシアの会談では、両国の戦略的パートナーシップをあらゆる分野で発展させる旨の合意が行われている。 カザフスタンについても、関係強化を狙っているのはこれらの国だけではない。先月には、韓国とカザフスタンがレアアースの共同開発協定に署名しているし、今日は中国全国人民政治協商会議の賈慶林議長がカザフスタン大統領と会談を行い、両国の戦略的パートナーシップを促進させる旨の話し合いが行われたという。 書いているうちに疲れてきたので、また後で・・・・・・。