辞書データの品質管理のため、3つの独立したGoogle Apps Scriptツール(Pivot Report、File List Checker、Delta Tracker)を統合し、新しい「S06データ監査ツール」プロジェクトを作成した。
統合の目的は、作業効率の向上だった。以前は、ピボットレポートを生成したい時、ファイルリストをチェックしたい時、差分を追跡したい時に、それぞれ別のスプレッドシートを開いて別のスクリプトを実行する必要があった。これを単一のサイドバーUIから呼び出せるようにした。
技術的に興味深かったのは、HTMLボタンのtype属性の扱いだった。最初の実装では、すべてのボタンにtype="submit"を指定していた。これがフォーム内で予期しない動作を引き起こし、意図しない関数が実行されてしまった。解決策は、明示的にtype="button"を指定することだった。
もう一つの課題は、設定の保存処理だった。Delta Trackerで使用するスナップショットのプレフィックスを保存する際、変数のスコープの問題でundefinedが保存されてしまった。これはJavaScriptの基本的な問題だが、デバッグには時間がかかった。
現在、S06ツールは3つの機能を統合したサイドバーから利用できる。Pivot Reportはフォルダ内のエントリ数をステータスとサブフォルダで集計し、File List Checkerは特定のファイル群の存在を確認し、Delta Trackerは2つのスナップショット間の差分を追跡する。
これらのツールは、S04(データ処理ツール)とは論理的に分離されている。S04は「データを変換する」ツールであり、S06は「データを検証する」ツールだ。この分離により、それぞれの役割が明確になり、メンテナンスも容易になった。