先週の日曜日に内モンゴルの学者とその奥方を招いてホームパーティーを開いた。内モンゴル東北地方の出身だと聞いていたので、内モンゴル式のボーズをメインデッシュに中華料理を数品作っておもてなしした。メニューは以下の通り。

・瓜子、麻花、お茶菓子
・日本人のお客さんから差し入れのイタリアンサラダ
・モンゴル茶
・ホノグボダー(炒り粟)
・モンゴルチーズもどき(インド製のパニールで代用)
・シャルトスもどき(バングラデッシュ製のギーで代用)
・豆腐干の冷菜
・トマトとキュウリの冷菜
・ゆで鶏肉の冷菜
・ジャガイモとニンジンの冷菜
・爆葱羊肉
・西紅柿鶏蛋(トマトと卵の炒め物)
・土豆粉条(ジャガイモ春雨)
・イカの炒め物
・内モンゴル風味ボーズ
・ジャスミン茶

麻花はかつて中国から伝えられた製法をもとに、日本の長崎にある工場で生産されたものだ。日本にも麻花があるのかとちょっと驚いていた。日本人のお客は瓜子の食べ方が分からずに戸惑っていたので、内モンゴル人が食べ方を伝授していた。モンゴルチーズもどきは、モンゴルチーズに味が似ているが、もっと乳脂肪分が高くてむしろこっちのほうがおいしいという感想だった。炒り粟は私が正確な作り方を知らなかったので、やや不評だった。本来は煮てから砂と一緒に炒って作るのだそうだ。シャルトスもどきは誰も手をつけなかったので感想を聞くことができなかった。モンゴル茶は内モンゴル式に濃い目に煮出して作った。味は好評で、「ずいぶんおいしいけど、どこの茶葉を使ったのですか」と聞かれた。以前ウランバートルで購入したモンゴル茶用のグルジア産の茶葉を使用した。モンゴル国でもこのグルジアの茶葉があいかわらず人気のようだ。

豆腐干は、以前どこかで食べたことがあるらしく、日本人のお客に受けていた。トマトとキュウリの冷菜は中国製の香酢を使用したら内モンゴルで昔食べた味にかなり近い味に仕上がったと思う。ゆで鶏肉の冷菜は練馬の某中華料理店で食べた蒸し鶏の冷菜の味付けを真似て作ってみたもの。ジャガイモとニンジンの冷菜はかつて内モンゴルのシリンゴル盟の家庭でよく食べたものを再現してみた。爆葱羊肉は内モンゴル東北地方の代表的な料理。西紅柿鶏蛋は中国の一般的な家庭料理。土豆粉条の春雨は中国製のジャガイモ澱粉春雨を使用したら現地の味に近いものに仕上がった。イカの炒め物は練馬の某中華料理店で食べた味を再現してみたのだが、結局誰も手をつけずに余ってしまった。そもそもモンゴル人にイカは不評なのだろう。

最後にボーズを出すと、内モンゴル人は二人とも喜びを隠し切れない様子だった。若い頃に内モンゴルのあちこちの家庭でごちそうになった記憶を思い起こしながら作ったのだが、「我々のボーズにそっくりだ」と何度も言われた。そしてひとしきり海外では野菜ばかりでなかなか肉が食べられないという話で盛り上がっていた。海外出張から戻ってきたとき、空港から自宅に電話して、「今から帰宅するから肉を茹でて待ってて」と奥さんに頼んだことがあったそうだ。モンゴル人はやはり肉を食べないと生きた心地がしないのだろう。

内モンゴル東北地方出身ということで、むしろ野菜料理が好きだろうと当たりをつけて中華風の炒め物も出したのだが、もっと純モンゴル的なメニューでもよかったようだ。今度は内モンゴル風味の肉入り煮込みうどんでもメニューに加えるとしよう。