モンゴルでは遊牧地域に暮らすお年寄りなどあまり歯磨きの習慣を持たない人もいるようだが、ほとんど虫歯のないきれいな歯をしている。ところが、都市部の若い世代の間で急速に虫歯が増えているという。あまり虫歯予防の知識がないままに、甘いものを食べる習慣が浸透してきたからだそうだ。現在のモンゴルは、戦後の日本で砂糖の消費量が急激に増え、子供たちの間に虫歯が蔓延した状況に似ていると専門家は指摘している。

そんな中で、ウランバートル市内の「エネレル歯科診療所(Энэрэл Дент Эмнэлэг)」は、以前から日本との技術協力を盛んに行い、虫歯の治療だけでなく検診や予防治療にも力を入れている。日本で研修を受けたことのある歯科医、歯科衛生士、歯科技工士、事務など計十数名のスタッフが在籍している。

2002年には、地下1階・地上2階建ての新診療所が完成し、モンゴルで最も近代的な歯科診療所としてオープンした。モンゴルではレントゲン室のある歯科はまだ稀である中、パノラマレントゲンなどの大学並みの設備機器を備えている。

以下は、岡山大学のモンゴル歯科探検隊による新・エネレル歯科診療所の間取り図だ。

http://www.dent.okayama-u.ac.jp/syouni/OKAZAKI/mongol/2002/new/new.html

治療室だけでなく、患者用のロッカールーム、レントゲン室、歯科技工室、図書室、歯ブラシ工場などを併設している。1日に約100名の患者が訪れて治療を受けているそうだ。完成後の同診療所の概観は、同じくモンゴル歯科探検隊による以下のページで見ることができる。

http://www.dent.okayama-u.ac.jp/syouni/OKAZAKI/mongol/2003/index.html