モンゴル料理を大別すると、モンゴル国の料理、内モンゴルの料理に分けられる。さらに、それぞれを都市部の料理、遊牧地域の料理に細分することができる。

(a) モンゴル国の都市部の料理
(b) モンゴル国の遊牧地域の料理
(c) 内モンゴルの都市部の料理
(d) 内モンゴルの遊牧地域の料理

幸いにも私はモンゴル国、中国内モンゴルの両方とも長期滞在の経験があるし、都市の生活も遊牧地域での生活もそれぞれ体験している。そこで、これまでの見聞を踏まえて、モンゴル料理について述べていきたい。

ここで便宜的に「都市部」、「遊牧地域」と分けたが、実際にはモンゴル語における「都市部(hot)」の対立概念は「田舎(hodoo)」である。ただ、日本語で「田舎」というとどうしても農村をイメージしてしまうし、「田舎くさい」などの差別的なニュアンスも含まれてしまう恐れがあるので、ここではあえて「遊牧地域」とした。県や村の中心に住んでいる人々は遊牧を行っているわけではないが、自宅で牛を飼っていることも多く、女性の県庁職員が朝の出勤前に乳搾りをしていくなんて話も聞いたことがある。乳製品や肉類は都市部に比べると豊富だし、手に入る野菜や調味料も限られている。そこで、広い意味での酪農文化圏ということで、遊牧地域に分類しても差し支えないと思う。