モンゴルではツァガーン・サルと呼ばれる旧正月が盛大に祝われる。ただ、このツァガーン・サルの日程であるが、少なくとも一年前にならないと分からないらしい。毎年、占星術師がチベット仏教起源の占星術の理論に基づいて計算して翌年のツァガーン・サルの日取りを発表することになっている。

ところがモンツァメ通信社が発信した情報によれば、今年のツァガーン・サルの日程について、モンゴル国の仏教の中心であるガンダン寺が発表した日付とTs.ダシツェレンという占星術師の主張する日付が約1ヶ月食い違っていて議論になっているのだという。
http://www.mongoliadirect.com/content/view/3425/601/

知り合いのモンゴル人に質問したところ、Ts.ダシツェレン氏はシャル・ゾルハイという流派の占星術師なのだそうだ。シャル・ゾルハイとは私も初耳だったのだが、シャルとは黄色を意味し、ゾルハイとは占星術を意味するので、文字通りに訳すならば黄占星術といったところか。このシャル・ゾルハイはフビライ・ハーンが大都(現在の北京)に遷都したときに漢地にもたらされて普及したものだという。

モンゴルの宗教事情は、チベット仏教に加えて、シャーマニズムやアニミズムなどの土着的な要素を持つ宗教が複雑に絡み合って複雑なのである。しかも長い間社会主義体制だった歴史もあるので、いわゆる唯物主義もそれなりに浸透していて、意外と信仰心は薄いように見受けられる。今までに知り合ったモンゴル人を観察した限りでは、純粋に宗教的な意味での信仰心は日本人と同程度、ただしけっこう迷信好きといったところか。

さて、かんじんのツァガーン・サルの日取りだが、さっきのモンゴル人の説明では、一部の人を除いて大抵の人はガンダン寺の発表に従うだろうとのことだった。