去年は中国のチベット自治区で暴動があって数多くのチベット人の命が奪われた。今年は新疆ウイグル自治区で暴動があった。そして来年は・・・と考えると心臓が早鐘を打ち、冷や汗が流れそうになり、涙すらにじんでくる。

一部のメディアは中国国内の民衆の不満のはけ口となるよう、わざと民族対立を煽っていると論じている。だが、これは当たらないと思う。あくまでも中国共産党は「各兄弟民族が団結、協力」することを謳っており、国内には民族問題は存在しないというのを建前としてきた。実際に、私が昔中国にいた頃も、中国人は口を揃えて「民族問題没有」と言っていた。

中国政府側の報道では、湾岸部と辺境地域、さらに教育程度の高い人々とそうでない人々の間に経済格差が生じたために少数民族は不満を抱えているという。だが、はたして経済格差だけが本当の理由だろうか。

新疆ウイグル自治区ではだいぶ以前から、幾度となく核実験が行われてきたという事実は意外なことにあまり知られていない。最近、アメリカの有力な科学雑誌で発表されてやっと世間に知られるようになった。

このたび来日したカーディル女史が述べているように「約60年間の圧制に対する我慢が限界に達した」というのが真実であろう。我慢は重ねている時期が長ければ長いほど、これを表面に出さないように努力すればするほど、ほんのささいなことである日爆発するものだ。これは民族問題だけに限らず、日頃の人間関係についても言える。自由に不満を口に出せる空気がない状態では、いつか破綻してしまう。