まず、ビトゥー・ホールの作り方を説明する。ビトゥー・ホールとは小麦粉の生地でひき肉の具を包んだ詰め物料理のことである。主にボーズ、ホーショール、バンシを指す。ボーズとは小包籠のようなもので、蒸して作る。ホーショールは平たく作り、油で揚げるかフライパンに多目の油をひいて焼いて作る。バンシは水餃子のことで、ゆでて作る。

これらの料理の作り方に共通していえることは、小麦粉とひき肉は同量を目安にするということだ。例えば小麦粉が300gならば肉も300g、小麦粉が500gならば肉は500gで作るとよい。もっもと、経験豊富なモンゴル人の主婦であっても包んでいるうちに小麦粉生地が余ったり、逆にひき肉の具が余ったりすることもあるので、あまり神経質に考えなくてもよい。

小麦粉の量は1人分あたり150gを目安にすればよいだろう。肉の量も同量ということだが、日本のスーパーでは256gとか342gとか、半端な量がパック詰めして売られているので、その辺は適宜加減しなければならない。スーパーで「羊肉を300gひき肉にしてください」などと頼めば一番手っ取り早い。その場で挽いてもらうなら、できればやや粗挽きにしてもらうとよい。

小麦粉の生地の作り方を説明する。まず、ポットのお湯に水を足してぬるま湯を用意する。目安としては、300gの小麦粉ならばぬるま湯の量は180ccほどだが、様子をみて加減して、耳たぶ程度の固さになるように作る。小麦粉にぬるま湯を少しずつ入れていって、ちょっとぼそぼそになったところでそれを捏ね続けていくととちょうどよい固さになる。

ひとまとまりになった生地はボールを裏返しにするか濡れ布巾をかけて乾かないようにして、30分ぐらい寝かせておく。この後で両手を使って力を入れてよく捏ねる。

肉は、もし固まり肉のままだったら自分で細かく切ってひき肉にする。半解凍ぐらいの固さにして切ると切りやすい。そこに玉ねぎのみじん切りを入れて塩こしょうで味付けする。玉ねぎの量は日本人の感覚からするとびっくりするほど少量だ。300g~500gだったら、中サイズの玉ねぎ半個ほどでよい。1kgの肉に半個しか入れないモンゴル人もいる。

先日、自分でバンシを作ってみた際、肉を自分で切るところから始まって、バンシが茹で上がるまでの所要時間は1時間半だった。モンゴル人が作ってもこれぐらいの時間はかかるだろう。