チベット仏教のお寺に行くと、マニ車というものを目にすることができる。これは何も目にするためだけのものではなくて、実際に手で触れるためのものだ。ご存知の方もいるかと思うが、マニ車には中にお経が収められており、一回まわしただけでそのお経を一回唱えたことになるという便利な代物だ。お寺に備えられているマニ車は大型のものだが、携帯用のコンパクトサイズのものもあり、チベットでは老人が片身離さず手にしていることが多い。暇さえあればマニ車を回し、せっせと功徳を積んでいる。
モンゴルではさすがに社会主義時代に仏教は禁止されていたので、四六時中マニ車を回しているような人は見かけないが、それでもガンダン寺などのお寺に行くとマニ車をせっせと回している光景を目にすることができる。
それにしても、回すだけでお経を唱えたことになるという発想はすごい。チベット仏教にはそもそも合理主義的な面があるし、便利さとスピーディーさを求めたい気持ちは人間誰でも一緒だろう。
さらに、テレビの映像で見かけたのだが、水力発電でマニ車を回しているというもっとすごいものもあった。人力で回転させなくても功徳になるらしい。その理屈で言うと、ハードディスクに経文を収めておけば、超高速で回転してくれるので、功徳を積みまくりということになる。というわけで、以下のサイトからはデジタル・マニ車をダウンロードすることができる。
http://www.dharma-haven.org/tibetan/digital-wheels.htm
ではいっそ、人力で回転させているマニ車に発電装置を仕組んでおいたらどうだろう。自転車の発電機などのように、回転運動を利用して電力を得られないだろうか。敬虔な仏教徒の力をもってすれば、優に一日に十数時間は回転可能だろう。得られた微々たる電力でいったい何をするのかと聞かれたら答えに困るが、電灯用ぐらいにはなるだろう。夜間、その明かりの下で仏教学の勉強でもすれば功徳も倍増だ。