毎年バレンタインデーのシーズンになると、あちこちで「手作りチョコ」という文字が踊る。市販の割りチョコを湯煎して溶かして固めるだけなので、手作りも何もないと思うのだが、いかにも手をかけたように見えるところが受けているのだろうか。料理上手なふりさえすれば想い人に好かれると信じる女が、女とは先天的に料理が上手なものだと信じているアホな男を釣るための戦術であろうか。いや、もしかすると「愛情込めた手作りの品」というキャッチフレーズには「愛情=労力+時間」という認識が潜んでいるのかもしれない。

とはいえ、本当にチョコレートを手作りしようとするならば、発酵させたカカオ豆を乾燥させて焙煎、粉砕し、出来上がったカカオマスにココアバターや砂糖を混ぜて練り上げ・・・とかなり複雑な工程が必要となり、素人が簡単に作れるようなものではなさそうだ。ましてや、バレンタインデーの時ぐらいしか台所に立ったことがないという若い女性にはなおさらである。

チョコレートのできるまでというページがあるので、詳しい作り方はこちらを見ればよいだろう。
http://www.panaderia.co.jp/materials/chocolate/choco3/

ともあれ、同じような疑問を抱いている人はけっこういるらしく、こんなブログを見つけた。
http://www.geocities.co.jp/Bookend/7369/valentine/valentine2003.html

しかし、それだけでは誰もが思いつきそうな話でちょっと面白くない。そこでもうちょっと調べてみたところ、こんな話が載っていた。
http://d.hatena.ne.jp/ShortyTank/20081116/1226820722

日本ではチョコレートの表示には以下の3種類があるのだという。

純チョコレート=ココアバター100%
チョコレート=ココアバター以外の植物性油脂を5%以内含有
準チョコレート=ココアバター以外の植物性油脂を5%以上含有

1978年にダイエーとの共同企画により、「本命チョコは手作りで!」というキャッチコピーで純チョコレート(ココアバター100%)の割りチョコを売り出したところ、美味しいので大当たりしたという話らしい。

割りチョコなので成型加工していない分、コストが安くてお買い得なのだろう。そもそも手作り用として売り出すので、成型されていない見た目の悪さは全く問題にならないわけだ。確かに、義理チョコ用に安く大量に売られているハート型のチョコはいかにも味が薄そうで美味しくない。この話が本当だとすれば、普段スーパーではあまり見かけないような純チョコレートの割りチョコがバレンタインの時期に安く出回ったら、買い占めて冷蔵庫にでも保管しておくのが得策かもしれない。もっとも最近ではカカオダイエットのブームでカカオ90%なんてチョコレートもけっこう出回っているが。

植物性油脂ならまだよいのだが、昔、内モンゴルに住んでいたときによく買ったチョコレートはどうもラードかなにかの動物性油脂が含まれていたような気がする。ちょっと食べるとしばらくして胸焼けがしてきたものだ。・・・ああ、結局またモンゴルの話題になってしまった。