アメリカにもモンゴル料理店はある。ただし、本当のモンゴル料理ではなく、ビュッフェ形式のバーベキューを食べさせるところがほとんどのようだ。つまり、並んでいる食材の中から好きなものを自分のボールに入りきれるだけ盛り、好みのバーベキューソースを選んでかける。それを巨大な円盤型のバーベキューグリルのところに持っていって、スタッフに焼いてもらって食べるというものだ。こうした店はモンゴリアン・バーベキューあるいはモンゴリアン・グリルと名付けられている。 http://www.gomongo.com/http://www.genghiskhankc.com/http://www.chinhuamongolianbbq.com/home.nxghttp://www.mongoliangrillcolumbia.com/http://www.huhot.com/index.htmlhttp://www.changsgrill.com/chang2intro.htmlhttp://www.chansmongoliangrill.com/ まだまだ探せばいくらでも出てくるのだが、切りがないのでこの辺にしておこう。どこのレストランも判で押したように同じようなバーベキュースタイルだが、アメリカではモンゴリアン・バーベキュー・グリルと名付けられた業務用のグリルが販売されているらしい。http://www.americanrange.com/specialty/mongolianbbq.html アメリカ人はとにかくバーベキュー好きな国民だ。正確な数は忘れたが、数世帯に一つはバーベキューセットを所有しているといわれている。だから、バーベキューという形式はアメリカ人に受け入れられやすいのだろう。そしてモンゴルの移動式住居ゲルの円形のイメージから、円形のグリルという発想に至ったのかもしれない。あくまでもこれは私自身の推測だ。 ところで、メニューを見たところエビやカニを食べさせるような店があって、ちょっと違うんじゃないかという気がする。メニューに堂々と”Mongolian Shrimp”などと書かれている店もあったりする。 羊の絵が描かれているサイトも見かけたが、うるさいことを言うとモンゴルの羊は尾が扁平で太いはずだ。尾に蓄えられた脂肪は貴重なエネルギー源であり、モンゴル人は外来種の羊との交配を拒んできたのだ。
最近、ドイツでもモンゴリアン・バーベキューなるものが流行っているらしい。http://www.mongos.de/home/home.php 豚、鳥、牛、ラム、カンガルー、ダチョウなどの肉を焼いて食べることができる店らしいが、「は?モンゴルにカンガルーやダチョウっていたっけ?」とたじろいでしまう。 私の身の回りにも、東京のアフリカ料理店に行ってワニやダチョウの肉を食べたと言っていた人がいたが、それと同様に「よくわからない国=よくわからない食べ物」的なノリなのだろう。 MONGO’Sというお店のネーミングからして、華僑が作ったお店のような気がする。このお店はいまやドイツ全土に普及していて、そのチェーン店がタイなどの国にも進出しているらしい。わざわざ美食の国タイに行って、ドイツ資本の中華ナイズされたモンゴル料理に舌鼓を打つなんてちょっとぞっとしないが。
ドバイにはモンゴリアン・バーベキューというモンゴル料理の店があるらしい。http://chinese-palace-restaurant.com/mongolianbarbecuemenu.aspx 日本人旅行者によるブログで同レストランの料理の写真を見たが、正直言って「これのどこがモンゴル料理?」と唸らざるを得ない。そもそも春巻はモンゴル料理ではないし、モンゴル人はもともとエビは食べないぞとか、いろいろと突っ込みたくなるが、ラクダのコブがアラブのものとは違ってちゃんとふたコブになっているのでまあよしとしよう。うるさいことを言うならば、ゲルに直接ラクダを繋ぐ習慣はないはずだが、デフォルメした絵柄なのでその辺はしかたないか。 どこかのブログでは、ドバイのマクドナルドにもモンゴル料理メニューがあるというような話を見かけた。どの程度ポピュラーになっているのかは定かではないが、たしかに、アラブ人の味覚にはモンゴル料理は受け入れられやすいような気がする。
先日、モンゴル人達を招いてホームパーティーを開いた。メニューは以下の通り。 ・モンゴル茶・お茶菓子・チーズ3種・日本酒・カナッペ・ニンジンのサラダ・首都サラダ・キャベツのサラダ・塩茹で羊肉・ボダータイ・ホーラガ・ボーズ・デザート・紅茶 モンゴル茶の味は評判がよく、例によってどこで買った茶葉を使ったのかと聞かれた。モンゴル国のモンゴル人向けには茶葉を少なめにして薄く煮出し、牛乳を多めにするのがコツ。塩味は内モンゴルのものよりはやや少なめぐらいだろうか。やはり、現地人にモンゴル茶の出来栄えを褒めてもらうのは嬉しい。 チーズはパニール(インド製)とモッツァレラとエメンタールを並べて食べ比べてもらったところ、パニールがモンゴルのビャシラグにそっくりで、もしモンゴル製だと言って出されても区別がつかないとのこと。モッツァレラも乳脂肪分が高いけどモンゴルのビャシラグによく似ているという感想だった。 ついでにモンゴル人の味覚について調べたいという好奇心から、うまい棒も食べ比べてもらった。うまい棒というのは十数種類の味のバリエーションがある駄菓子だ。このうちの牛タン味、カレーチキン味、チーズ味を食べさせて、5名のモンゴル人の意見を総合した。チーズ味が一番おいしいとの意見で、牛タン味は予想に反してさほど口に合わなかったようだ。いつかうまい棒の30本入りを大量に買い込んでモンゴル人に配り、アンケートをとってみたいと夢は大きくふくらむ。 ボーズは約50個ぐらい作って蒸した。ボーズの具はモンゴル国式に羊肉と玉ねぎを使用して、味付けは塩こしょうのみ(内モンゴル式だと羊肉とニラを使用し、調味料各種を加える)。味付けは我が家のナイR氏が担当してくれたが、ちょうどいい塩加減で大好評だった。羊肉はどこのスーパーでも、ひき肉になったものは手に入りにくいが、ハラール食品を扱っている店に行くと冷凍したものを購入できる。蒸しあがったボーズにはケチャップを付けて食べるのがモンゴル国流。 すべてのメニューの調理に要した所要時間は約3時間。忙しかったので、キャベツのサラダなどはスーパーで売られている千切りキャベツを利用した。首都サラダもハナマサで購入しておいた業務用の1kg入りポテトサラダにピクルスとゆで卵のみじん切りを混ぜるだけにして、時間の短縮をはかった。
「金魚園」ホームページの「ドクター金花のモンゴル民族 健康食生活!」という特集ページでは、内モンゴル人の金花氏(農学博士)がモンゴル料理について解説を行っている。内モンゴルにしかない食べ物についての記述もあるが、モンゴルの伝統的な食物について述べられているので、おおむねモンゴル国のモンゴル人にも共通する内容が多い。モンゴルの食物についてかなり踏み込んだ知識も盛り込まれている。http://www.kingyoen.jp/column/
先週の日曜日に内モンゴルの学者とその奥方を招いてホームパーティーを開いた。内モンゴル東北地方の出身だと聞いていたので、内モンゴル式のボーズをメインデッシュに中華料理を数品作っておもてなしした。メニューは以下の通り。 ・瓜子、麻花、お茶菓子・日本人のお客さんから差し入れのイタリアンサラダ・モンゴル茶・ホノグボダー(炒り粟)・モンゴルチーズもどき(インド製のパニールで代用)・シャルトスもどき(バングラデッシュ製のギーで代用)・豆腐干の冷菜・トマトとキュウリの冷菜・ゆで鶏肉の冷菜・ジャガイモとニンジンの冷菜・爆葱羊肉・西紅柿鶏蛋(トマトと卵の炒め物)・土豆粉条(ジャガイモ春雨)・イカの炒め物・内モンゴル風味ボーズ・ジャスミン茶 麻花はかつて中国から伝えられた製法をもとに、日本の長崎にある工場で生産されたものだ。日本にも麻花があるのかとちょっと驚いていた。日本人のお客は瓜子の食べ方が分からずに戸惑っていたので、内モンゴル人が食べ方を伝授していた。モンゴルチーズもどきは、モンゴルチーズに味が似ているが、もっと乳脂肪分が高くてむしろこっちのほうがおいしいという感想だった。炒り粟は私が正確な作り方を知らなかったので、やや不評だった。本来は煮てから砂と一緒に炒って作るのだそうだ。シャルトスもどきは誰も手をつけなかったので感想を聞くことができなかった。モンゴル茶は内モンゴル式に濃い目に煮出して作った。味は好評で、「ずいぶんおいしいけど、どこの茶葉を使ったのですか」と聞かれた。以前ウランバートルで購入したモンゴル茶用のグルジア産の茶葉を使用した。モンゴル国でもこのグルジアの茶葉があいかわらず人気のようだ。 豆腐干は、以前どこかで食べたことがあるらしく、日本人のお客に受けていた。トマトとキュウリの冷菜は中国製の香酢を使用したら内モンゴルで昔食べた味にかなり近い味に仕上がったと思う。ゆで鶏肉の冷菜は練馬の某中華料理店で食べた蒸し鶏の冷菜の味付けを真似て作ってみたもの。ジャガイモとニンジンの冷菜はかつて内モンゴルのシリンゴル盟の家庭でよく食べたものを再現してみた。爆葱羊肉は内モンゴル東北地方の代表的な料理。西紅柿鶏蛋は中国の一般的な家庭料理。土豆粉条の春雨は中国製のジャガイモ澱粉春雨を使用したら現地の味に近いものに仕上がった。イカの炒め物は練馬の某中華料理店で食べた味を再現してみたのだが、結局誰も手をつけずに余ってしまった。そもそもモンゴル人にイカは不評なのだろう。 最後にボーズを出すと、内モンゴル人は二人とも喜びを隠し切れない様子だった。若い頃に内モンゴルのあちこちの家庭でごちそうになった記憶を思い起こしながら作ったのだが、「我々のボーズにそっくりだ」と何度も言われた。そしてひとしきり海外では野菜ばかりでなかなか肉が食べられないという話で盛り上がっていた。海外出張から戻ってきたとき、空港から自宅に電話して、「今から帰宅するから肉を茹でて待ってて」と奥さんに頼んだことがあったそうだ。モンゴル人はやはり肉を食べないと生きた心地がしないのだろう。 内モンゴル東北地方出身ということで、むしろ野菜料理が好きだろうと当たりをつけて中華風の炒め物も出したのだが、もっと純モンゴル的なメニューでもよかったようだ。今度は内モンゴル風味の肉入り煮込みうどんでもメニューに加えるとしよう。
モンゴル料理にはニースレル・サラダというものがある。http://www.e-food.mn/index.php?task=read_content&content_id=137
モンゴルにはウルムという乳製品がある。牛乳を弱火で加熱しながらひしゃくを空中に持ち上げるようにして上下に攪拌し、分離した乳脂肪分を集めたものである。味はバターとクリームチーズを併せたような得もいえぬ味わいがある。このウルムを加熱して油分を分離させたバターオイルのようなものがシャルトスと呼ばれるモンゴルバターで、いわゆる醍醐である。 このウルムは概して日本人にも好評で、これが苦手という人はむしろ少ないように思う。ただし、乳脂肪分を多く含むので、美味しいからといって食べ過ぎると気持ち悪くなるので注意が必要だ。 さて、このウルムにやや似たものとして、イギリスのクロテッド・クリームという乳製品がある。Wikipediaの説明によれば、脂肪分の高い牛乳を、弱火で煮詰めたものをひと晩おいて表面に固まる脂肪分を集めて作るそうだ。攪拌による分離こそしないものの、製法としてはかなりウルムに近い。イギリスではスコーンに添えて食べるのが定番だという。 このクロテッド・クリームは日本でも中沢、十勝しんむら牧場などで製品化して発売されている。ただ、コストを考えると致し方ないのかもしれないが、かなり高価だ。中沢の製品はちょうどサワークリームのような容器に入っており、以前にサワークリームと間違えて買ったことがある。中身はどろどろとしたバターと生クリームのあいのこのような味だった。 インターネットで探したところ、このクロテッドクリームを手作りする方法をブログに載せている人もいた。生クリームとマスカルポーネや、生クリームだけで作るのだそうだ。http://milliamm.blog39.fc2.com/blog-entry-30.html もしかしたら、低温殺菌のノンホモ牛乳や生クリームをうまく使えば日本でもウルムが作れるのかもしれない。
モンゴル料理にはホルホグと呼ばれる豪快な野外料理があるが、これを一般家庭の台所やレストランで再現するための製法が特許取得されている。 http://www.j-tokkyo.com/2007/A23L/JP2007-049974.shtml 発明者の名前が漢字表記になっていることからして、内モンゴル出身のモンゴル人による出願だと思われる。同特許によるとホルホグの製法には、まる剥きにした家畜の皮を袋として利用し、中に加熱した石と肉を入れて、外側から加熱して蒸し焼きにする方法と、皮袋の替わりにアルミニウム製ミルクタンクを用いて同様に蒸し焼きにする方法の2つがあるとされている。 なお、現在のモンゴル国においてはホルホグといえば後者を指し、前者のような製法のものはボートグと呼ばれ、別の料理として扱われる。タルバガンという動物を仕留めたときなどに、このボードグという料理法が用いられることが多い。 ミルクタンクとは、「フランダースの犬」のアニメでネロとパトラッシュが曳いていてたようなあれのことだ。モンゴル国でも、もともとはミルクタンクの代わりに胃や皮袋が用いられていたとのことで、本来のホルホグとボードグの区別については不明だ。後でもうちょっと詳しく調べてみることにしたい。
【ボーズの作り方】 モンゴル料理の代表格ともいえる、「ボーズ」について説明する。これは小麦粉の生地でひき肉を包んで蒸したものだ。作り方は中華料理の小籠包とほぼ同じである。 生地の作り方と具については前回の「ビトゥー・ホール」の項で説明したので、ここでは主に包み方と蒸し方について説明する。 包み方には色々なバージョンがあり、主に以下の4通りに分類できる。(分類名の命名は筆者による。) ・巾着包み・編み上げ包み・花包み・巾着包み変型 最も一般的なのは巾着包みで、円錐型に包んで上に巾着のように襞をよせて包む。下記のページでは、この巾着包みによる小籠包の作り方を動画で見ることができる。 http://jp.youtube.com/watch?v=Ny18eMZNP-Q(皮の作り方)http://jp.youtube.com/watch?v=-LDDlMXWnnM&feature=related(包み方) どの包み方でも、必ず上の部分を一箇所だけ閉じずに残しておくのがポイントだ。包んだボーズは蒸し器に入れて蒸す。蒸気が上がってきたところでセットして約20分蒸す。蒸しあがったら蓋をとって、蒸し器や鍋の蓋、うちわなどで扇ぐこと。お皿に盛って出来上がりだ。 ボーズの食べ方だが、手でつまんで食べるのが通である。ボーズとは、具から染み出した熱々の肉汁を味わうのが醍醐味なので、まず一口かじってから汁をすするが最も美味しい食べ方なのだ。昔、内モンゴルの西ウジュムチン旗に滞在していたときに、生まれて初めて本物のモンゴル式ボーズを食べたのだが、「ちゅっと汁が出て美味しいもんだ」と感じたものである。もっもと、このときは皆は箸で食べていた。私の記憶では、内モンゴルでは手づかみより箸で食べることが多いようである。だから、フォークや箸で食べても特にマナー違反というわけではない。ただ、その際には熱い汁をこぼしてしまったり火傷をしないように注意。 お好みで調味料をつけて食べてもよい。モンゴル国ではケチャップをつけて食べることが多く、内モンゴルでは黒酢などをつける。日本に暮らしているモンゴル国の出身者の中には、醤油をつけて食べている人もいた。 世界的には、中央アジア一帯から西アジアにかけて、ボーズにそっくりの料理が分布している。中華料理の小籠包がそうであるし、チベットにはモモという料理がある。これはネパールにも伝播していて、とてもポピュラーな料理となっている。ネパールのモモはカレー味のたれを付けて食べるのが特徴で、材料もヒンドゥー教徒が多い国なので牛肉は用いない。最近では日本のインド料理レストランでもモモを食べられる店が増えつつある。ネパール人が経営している店であっても看板に「インド料理」を掲げているところが多いからである。ウイグルやウズベクでも類似の料理を作るが、マントゥと呼ばれている。おそらく中国の蒸しパンのマントウ(饅頭)が語源だと思われるが、全く別の食べ物である。