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Category: モンゴル語研究

米国議会図書館の蔵書

米国議会図書館は、議会の図書館であると同時に、アメリカ合衆国の国立図書館としての役割も果たしている図書館だ。同図書館では、1865年以来、アジア関係の資料の所有を開始した。4年後の1869年には清朝の同治帝より10タイトル993冊の蔵書の寄贈を受けている。これらを基礎としたアジア関係資料コレクションは現在では250万件に達している。収集内容も多義にわたる包括的なもので、この種のコレクションとしてはアジア地域外では最も優れたものであろうと米国議会図書館アジア部長のH.W.リー氏は記している。(出典:「米国議会図書館におけるアジア関係資料の構築」, 国立国会図書館ホームページ) 中国語・モンゴル語の資料は計90万冊で、モンゴル地域の貴重な資料も多数所蔵している。OPACで確認したところ、モンゴルについて記した英語書籍等も含むモンゴル関係の書籍は6,879冊と膨大で、このうちモンゴル語辞書が187冊も含まれている。 米国議会図書館のOPACは以下である。http://catalog.loc.gov/cgi-bin/Pwebrecon.cgi?DB=local&PAGE=First

モンゴル語訳『源氏物語』

「賀茂街道から2」の記事によれば、モンゴルで『源氏物語』の翻訳が進められている。モンゴル始まった世界の古典50作品を翻訳する国家事業の一つとして『源氏物語』が選ばれた。翻訳者は、ジャルガルサイハン・オチルフー氏で、テキストは、谷崎潤一郎の現代語訳だ。巻一(桐壺-末摘花)は2009年2月中旬、巻二(紅葉の賀-花散里)は2010年に刊行予定だという。 http://genjiito.blog.eonet.jp/default/2009/02/post-89d6.html

「Oxford モンソダル」ポケット辞書

モンソダル社からは2006年に”Оксфорд-Монсудар Англи-Монгол толь”が出版されているが、モンゴルアダイレクトの記事によると、この度そのポケット版が出版されたという。語彙数は3万5千語で、J.バト・イレードゥイ氏、D.トゥムルトゴー氏による編集だ。http://www.mongoliadirect.com/content/view/3526/601/ 私がかつてモンゴル国に留学中、トゥムルトゴー教授の個人授業を受けていたときのこと。ある時、モンゴル語の音韻変化について、言語学の専門用語を使って説明を受けた。そこで手にしていた英語のポケット版辞書で単語の意味を調べようとしたところ、「そんな小さな辞書に出ているはずはない」といって笑われた。しかし実際に辞書を引いてみたらちゃんとその単語も出ていたので、教授は大層驚かれたものだった。 これまで、モンゴル語の辞書というと非常にかさばるものか、単語数の少ない語彙集程度のものばかりだった。ところがポケット版のモンゴル語辞書で語彙数3万5千語というのだから、その当時と比べるとまさに隔世の感がある。なお、ポケット版のほうはまだInternom書店のホームページには掲載されていないが、2006年発行の通常サイズ版の方はオンラインでの購入が可能だ。購入の際にはモンゴルの銀行口座宛の送金が必要になるので注意。http://www.internom.mn/index.php?cmd=BookDetail&bookid=1302

Kowalevskiの辞書

Googleブック検索(http://books.google.co.jp/)では、700万冊におよぶ書籍の全文を検索することが可能だ。これらのうち、絶版または市販されていない書籍の一部は本文をプレビューすることができ、さらに著作権が失効しているものについてはダウンロードも可能だ。 というわけで、以下のページからはKowalevski, J. C. Dictionnaire Mongol-Russe-Fran醇Mais, Kazan, 1844-1849.の影印本である柯瓦莢夫斯基編《蒙俄法文合璧 蒙語大辞典 下巻》, 天津刊, 1941.の全ページ(1,574p)を無料でダウンロードすることができる。もちろん、3巻セットのうち下巻のみなので、tの項目以降しか収められていない。 http://books.google.co.jp/books?id=1y8MAAAAIAAJ&pg=PA1558&dq=Dictionnaire+Mongol-Russe-Fran%C3%A7ais&as_brr=3#PPA1574,M1

『汉蒙法律名词术语辞典』

新華通信社の報道によると、内蒙古人民出版社より2007年12月に『汉蒙法律名词术语辞典』が出版されたという。内蒙古自治区の高級人民法院と人民検察院が共同で編纂したもので、総字数200万字で、中国語の法律用語を15万語収録している。 http://news.xinhuanet.com/newscenter/2007-12/22/content_7292235.htm 亜東書店で取扱がある。税込み15,645円。

モンゴル語研究文献はどこにある(9)

本来ならば前回の続きでモンゴル国の図書館情報を書くはずだったが、先に別の情報をまとめてみた。 日本でモンゴル語書籍を手に入れるとしたら、モンゴル国の書籍を扱っているサイト、または中国の書籍を扱っている書店に注文するという方法がある。他にもちょっとした裏技を紹介する。本当は人には内緒にしておきたいような情報も含まれているのだが、そうケチなことを言ってもしょうがないだろう。わざわざこのブログを読みに来てくれた人へのお気持ちということで・・・。 まずは、すでにこのブログでも紹介済みのサイトから。 Vimo-Nomundalaihttp://jp.mongolianbooks.com/モンゴルで出版されている書籍、DVDやCDなどを日本在住者向けに販売するサイト。基本的にモンゴル語表示だが、日本語でのメールの問い合わせにも応じてくれる。 Internomhttp://www.internom.mn/モンゴル国初の2階建て大型書店Internomによる書籍通販サイト。表示はすべてモンゴル語で、問い合わせ等にはモンゴル語によるやり取りが必要だ。 中国で出版されたモンゴル語書籍を入手するなら、神田や神保町を訪れるのが手っ取り早い。ほとんどの書店は通販での注文も可能だ。 亜東書店http://www.ato-shoten.co.jp/店舗は神田にある。神田警察署の付近。モンゴル語書籍が豊富。 東方書店http://www.toho-shoten.co.jp/店舗は神保町にある。モンゴル語書籍は2階にある。 内山書店http://www11.ocn.ne.jp/~ubook/店舗は神保町にある。モンゴル語書籍は1階の奥にある。 アジア文庫http://www.asiabunko.com/店舗は神保町にある。内山書店と同じビルの5階にある。アジア各国に関係する書籍を取り扱う。モンゴル関係の邦書が豊富。 中華書店http://www.chuka-shoten.co.jp/店舗は神田(神保町)にある。モンゴル関係の書籍はさほど豊富ではない。 ビブリオ書店http://www.biblio.co.jp/かつてはアジア系の書籍が豊富な店舗を神保町(水道橋方面)に構えていたが、そちらは閉店になったようだ。まだモンゴル関係書籍を取り扱っている可能性があるので、確認されたし。

「四部医典タンカ」

富山県国際伝統医学センターは、チベットで購入した「四部医典タンカ」の全80点を保有している。完全なセットとして保有するのは世界でもイギリスの大英博物館などで数少ないという。 『四部医典(しぶいてん)』とはチベット医学の聖典であり、チベット語で著されたものでまだ日本語訳は存在しない。チベット仏教では仏像、物語、風景をタンカに描き、仏教を分かりやすく図解するという伝統があったが、この伝統をうまく利用して精緻な描写によって医学的な内容を解説したものが描かれるようになった。つまり「四部医典タンカ」とは『四部医典』の内容を図解したもので、17世紀頃から組織的に描かれるようになったとのことだ。これを80枚のセットとして集めたものが『四部医典タンカ全集』である。 以下のサイトでは、その「四部医典タンカ」の全80点の画像をオンラインで閲覧することができる。http://www.toyama-pref-ihc.or.jp/tanka/ モンゴル医学はチベット医学そのものではないが、非常に密接な関係にある。うろ覚えで恐縮だが、たしか『四部医典』のモンゴル語訳も存在し、日本で影印本が出版されていたと思う。

モンゴル語研究文献はどこにある(8)

では、いよいよモンゴル国にある図書館の紹介に入ろう。モンゴルの総合情報ポータルサイトであるOllooの記事によれば、モンゴル国内には350ヶ所の図書館が存在するという。このうち、主な図書館へのリンクを集めたページとしては以下のものが便利だ。 American Center for Mongolian Studieshttp://webs.banjig.net/listdweb.php?lc_id=65Banjig Вэб лавлахhttp://www.mongoliacenter.org/mnlibrary/index.php?option=com_content&task=view&id=27&Itemid=40 上記のリンクを参考にしながら、各図書館について詳しく紹介していくことにする。ただし残念ながら、モンゴル国の図書館のホームページにはリンク切れのページや外部からのアクセスが不可能なものも少なくない。 Улсын Төв номын сан(モンゴル国立中央図書館)http://www.mnlibrary.org/ (アクセス不能?) 国立国会図書館の林明日香氏が行った調査によると、2004年現在での蔵書数は350万冊(マニュスクリプト200万冊を含む)で、そのうちチベット語の資料が120万冊である。同図書館に対するインタビューでは、モンゴル国内で出版された図書の大部分は収集できているとのことだ。現在、同図書館が所蔵しているモンゴル語資料のすべての書誌データは、マニュスクリプト資料も含めて電子化されており、館内のコンピュータから検索することができる。ただしインターネットによる外部からのアクセスは不可能だ。2001年までに整理された図書の目録“Монголын үндэсний ном зүйн бүртгэл мэдээллийн сан I”(モンゴル国内書誌登録情報)がCD-ROM で販売されている。(出典:アジア情報室通報 第2巻第3号) Монгол Улсын Үндэсний номын сан(モンゴル国立民族図書館)http://www.nationallibrary.mn/ まだサイト構築中のようだが、蔵書検索のページも作られており、将来的にはOPACによる検索も可能になるものと思われる。モンゴル学に関連するキリル文字モンゴル語、伝統文字モンゴル語、チベット語、サンスクリット語の資料を非常に豊富に所蔵する。同図書館からは、1921~2000年に出版されたキリル文字モンゴル語、伝統文字モンゴル語の書籍情報を含むCDが出版されている。 Үндэсний төв архив(民族中央アーカイブ)http://www.pmis.gov.mn/archives (リンク切れ) 1674以降のモンゴル史に関連する文献資料が保存されている。 というわけで、続きはまた明日。

モンゴル語電子書籍

モンゴルにも、日本の青空文庫(http://www.aozora.gr.jp/)のような電子図書館が存在する。モンゴル語の学習、研究にも役立つと思うので、主なものをいくつか紹介しよう。いずれもモンゴル語書籍を無料でダウンロードして閲覧することができる。 ELibrary.mnhttp://www.elibrary.mn/ 口承文芸、児童書、文学書、小噺、歴史書に分類されている。同サイトで閲覧数が多かった上位3点は、上から順に『元朝秘史』、『モンゴル詩選』、『トンガラグ・タミル(清きタミル川の流れ)』である。トンガラグ・タミルはモンゴル革命前後の民衆の人間模様を描いた作品で、モンゴル国ではかつて映画も製作されており、根強い人気を保っているようだ。 Онлайн Номын Санhttp://www.onlinebook.mn/ ほとんどが英語書籍だが、モンゴル語書籍も閲覧することができる。モンゴル語のものは児童書、文学書、歴史、コンピューター、翻訳書に分類されている。C言語の入門書などもあり、全362ページがPDFで閲覧できるというのもすごい。 Biirbeh.COM.http://www.biirbeh.mn/ 詩や小説などが電子化されている。作者別に分類されており、キーワードで検索することもできる。ホームページの読者が自分の作品を投稿することもできるようだ。 国際児童電子図書館http://mn.childrenslibrary.org/ アメリカのサイトのようだが、48以上の各言語によって書かれた児童書を閲覧することができる。モンゴル語で書かれた児童書を閲覧するには、Энгийн хайлтのページに入って中央のプルダウンメニューでМонгол хэлを選択すればよい。試しに検索してみたところ、237冊(2009年1月現在)の書籍が電子化されていた。