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Category: モンゴル語研究

モンゴル語研究文献はどこにある(7)

京都大学図書館http://www.kulib.kyoto-u.ac.jp/modules/search/index.php?content_id=1 キリル文字モンゴル語、内モンゴルで出版されたモンゴル語書籍、モンゴル関係の邦書までを含めると、膨大な冊数が収蔵されている。ここの図書館でしか閲覧できないというものはさほど多くないが、全体的に見て非常に充実している。京都大学にも言語学科があるためか、モンゴル語研究書籍、辞書はかなり揃えがよい。さらに、同図書館の谷村文庫には、『朝鮮司訳院日満蒙語学書断簡』という珍しい書物が収められている。新村出による解説付きで、京都帝国大学所蔵の板木により新刷刊行されたとのことだ。 一橋大学附属図書館http://www.lib.hit-u.ac.jp/service/index_Ja.html 同図書館には外国雑誌センターが設置されている。これは、日本国外で出版される学術雑誌を体系的に収集し全国的な利用に供することを目的に、文部省の特別予算措置を受けて設置されたもので、9つの国立大学附属図書館が外国雑誌センターの指定を受けているのだが、このうち人文・社会科学系は一橋大学附属図書館と神戸大学人文・社会科学系図書館が指定を受けている。以前、一橋大学附属図書館でモンゴル国の新聞を定期購読しているという話を聞いたことがあるのだが、筆者がOPACにより検索した限りでは探し出すことができなかった。 三康図書館http://www.f2.dion.ne.jp/~sanko/ 約25万5千冊の蔵書を誇り、仏教、宗教系の専門書が豊富だ。入館は有料で1回100円。モンゴル関係の書籍は特に豊富というわけではないが、近代(大正から昭和初期)のモンゴル語教科書、辞書などが何冊か収められている。 成田山仏教図書館http://naritasanlib.jp/ 近代のモンゴル関係の書籍が豊富で、中にはかなり珍しい書物も含まれている。特にモンゴル仏教関係の学術誌が充実しており、モンゴル語関係の書籍や論文も他の図書館では見かけないような珍しいものが散見される。ここの図書館はちょっとした穴場かもしれない。

蒙古学文献信息中心

中国内モンゴル大学の国家教育部民族学科蒙古学文献信息中心(モンゴル学文献情報センター)には、国内外の約11万冊のモンゴル学の文献が収蔵されている。 この他にも、ヨーロッパの一部の国が保有するモンゴル語古文書のレプリカ800余点が収蔵されており、これには清代の朱字木刻本『御制蒙古文甘珠尔经』、1721年にパリで刊行された『帖木儿武功记』、1725年にパリで刊行された『鞑靼世系』、1735年にパリで刊行された『中华帝国和中国属鞑靼地区地理、历史、年代记、政治和自然志』、清代の朱字木刻本のモンゴル語版『红楼梦』等が含まれる。 211プロジェクトの際には更に大規模な資金投入が行われ、新たに『清代蒙藏回部典汇』、清代の竹筆を使って金粉で書かれたモンゴル語版『能断金刚般若波罗密多经』、パスパ文字による数多くの古文書等の数多くの貴重なモンゴル学文献が加えられた。 さらに『御制蒙古文甘珠尔经』等の重要なモンゴル語古文書のコーパス化を行い、検索とオンラインでの閲覧を可能にしている。また、モンゴル学の文献目録の作成等の活動も積極的に行い、高水準の文献情報リサーチサービスを提供しており、5年間のうちの国内外からの来訪者は5万人を数えている。 <参考URL>http://www.imu.edu.cn/ghb/211/211-5b.htm (抄訳)

モンゴル語研究文献はどこにある(6)

日本でモンゴル関係の蔵書が豊富なのは、主に言語学、地域研究、文化人類学、歴史などの分野でモンゴル研究が盛んな大学、研究機関の図書館だが、この他にも見逃せないのは仏教系の大学図書館だ。 大正大学 附属図書館http://www.tais.ac.jp/lib/index.html 仏教関係の蔵書はもちろんのこと、特に満蒙関係の資料などのモンゴル史の文献も充実している。なお、まだデータベース化が完了していないモンゴル関係の貴重書も収蔵されている。 佛教大学図書館http://www.bukkyo-u.ac.jp/lib/ モンゴル語訳の『入菩提行論』など、モンゴル語関係の蔵書が充実している。 国際仏教学大学院大学 附属図書館http://www.icabs.ac.jp/lib/index.html 『蒙古語訳甘殊爾』をはじめ、内モンゴルで出版されたモンゴル関係の書籍が数多く揃っている。昭和初期のモンゴル語教科書、辞書なども含まれており、中には他の図書館ではめったにお目にかかれないような蔵書もある。 駒沢大学図書館http://www.komazawa-u.ac.jp/cms/library/内モンゴルで出版されたモンゴル関係の書籍が充実している。また、出版年は不明だが和装本の『蒙古篆字』という珍しい書物も所蔵されている。邦書もモンゴル関係の書物はかなり揃えがいい。 龍谷大学http://opac.lib.ryukoku.ac.jp/hp/index.htmlモンゴル史関係の蔵書が充実している。

モンゴル語研究文献はどこにある(5)

学習院大学東洋文化研究所http://www.gakushuin.ac.jp/univ/rioc/knowledgecenter/archive.html 学習院大学東洋文化研究所の蔵書は東アジア学ナリッジセンターのデータベースで検索することができる。モンゴル関係の蔵書が豊富と謳われており、善隣協会などの資料が数多く収められている。モンゴル語研究に関する資料も多少含まれている。 静嘉堂文庫http://www.seikado.or.jp/menu.htm日本および東洋の古典籍および古美術を収蔵する文庫。数多くの貴重な古典籍と古美術品を収蔵しており、内外の古典籍を研究者向けに公開する私立の専門図書館であると同時に、併設する静嘉堂文庫美術館を通じて収蔵品を広く一般に公開する美術館活動を行っている。研究に資するため原則として原本を提供するという方針をとっているため、きわめて貴重な宋・元版を除き、明以降の中国の版本などは全て古典籍の原書が閲覧に供されている。閲覧は予約制で紹介状が必要。モンゴル語関係の蔵書については未確認。 財団法人 無窮會http://www.mukyukai.jp/index.html 神道、国学、国語国文、国史、漢籍、漢詩文、民俗学の古書。これらに関する明治以降の研究書、雑誌。閲覧のみが可能で、大学からの紹介状と会費を添えて入会した者のみ閲覧可能という、非常に敷居の高い図書館だ。無窮會東洋文化研究所という機関が存在するが、こちらは主に漢文学などを扱っているようで、モンゴル語関係の蔵書については未確認。同ホームページのリンク集には、漢籍の蔵書を検索するためのデータベースへのリンクが豊富だ。

モンゴル語研究文献はどこにある(4)

前回までに各図書館の蔵書を調べる横断検索の方法を紹介したが、やはりこれだけでは全ての図書館の蔵書を調べることは難しい。しらみつぶしに探そうとするなら、やはり個々の図書館のOPACを使って気長に探したほうがよいだろう。それではこれまでに紹介したリンクに含まれていなかった図書館を順不同で紹介する。 財団法人東洋文庫(http://www.toyo-bunko.or.jp/) ここの図書館なくしてモンゴル語学を語ることはできないほど、貴重な書籍が豊富に収められた図書館である。モンゴル語書籍は、ホームページの[データベースの検索]→[Ⅰ書誌]→[モンゴル語資料 検索]を辿っていけば検索することができる。また、同じく[Ⅰ書誌]のページの[キリル文字資料]からも検索することができるが、キリル文字モンゴル語は[モンゴル語資料 検索]から検索したほうがよい。こちらからはむしろ、ロシア語で書かれたモンゴル語、ブリヤート語などに関する書籍などを検索することができる。 早稲田大学図書館蔵 モンゴル語書籍目録(Unicode版)(http://db2.littera.waseda.ac.jp/wever/mongol/goLogin.do) トップページには「中国刊行 モンゴル文文献目録」と書かれているが、モンゴル国において刊行されたモンゴル語書籍も検索することができる。歴史、文化、社会制度などに関係した書籍が豊富だ。近年に刊行された辞書、用語集はおそらくここの図書館の蔵書が最も充実しているだろう。 早稲田大学 学術情報検索システム(WINE)(http://wine.wul.waseda.ac.jp/) 意外と見落とされがちだが、早稲田大学にはかつて語学研究所という機関があったため、旧語学研究所の蔵書にも多少のモンゴル語書籍がある。これらは上述の「早稲田大学図書館蔵 モンゴル語書籍目録目」には含まれていないようなので、早稲田大学の図書館蔵書として検索すればよいだろう。 東京大学OPAC (https://opac.dl.itc.u-tokyo.ac.jp/opac/opac-query) 東京大学の言語学科には服部四郎、小沢重男などの優れたモンゴル語学者も在籍していた経緯もあり、さらに東洋史関係の資料も含めると、モンゴル語書籍の蔵書はかなり豊富である。ただし、最近になって刊行されたモンゴル語書籍はあまり充実していない。 東京大学東洋文化研究所漢籍目録 http://www3.ioc.u-tokyo.ac.jp/kandb.html 文字通り漢文で書かれた書籍が主に収められている。「蒙」というキーワードで検索すると、「啓蒙」だの「蒙求」だのと関係ないものもかなりひっかかるが、ちまちま探していくとモンゴル語関係の書物を見つけることができる。『東大東洋文化研究所所藏江上博士收集蒙文佛典』などという書物も収められており、管見の限りでは唯一ここの図書館にしかない珍しいものだ。 というわけで、続きはまた後ほど。

モンゴル語研究文献はどこにある(3)

全国の大学図書館には、多言語対応OPACを導入するところが増えてきている。そのため、キリル文字モンゴル語を入力して検索したり、簡体字の中国語を入力して中国で出版されたモンゴル語書籍を検索するなどが可能だ。以下のサイト(福山市立女子短期大学 附属図書館)は多言語対応OPACの一例である。http://www.lib.fukuyama-jc.ac.jp/opac/expart-query?mode=2 デフォルトではローカルデータベースの検索のみになっているようだが、画面左上の「国立情報学研究所」にチェックを入れると、全国の大学図書館に所蔵されているモンゴル語書籍を検索可能だ。例えば、толь(モンゴル語で「辞書」の意味)という語を入力して検索してみると、「国立情報学研究所で133件見つかりました」という結果が表示される。つまり、国内の図書館にある約133種類のモンゴル語辞書のリストを一望できるということだ。 とはいえ、なぜかこの検索結果にはモンゴル語ではなくロシア語のものや、全く関係ないものも含まれている。また、内モンゴルで出版されたモンゴル語辞書などは別の方法で検索しなければならないし、このデータベースに全ての蔵書が登録されているとは限らない。だから冊数は大体の目安と考えた方がいいだろう。 さて、試しに検索結果の一番最初に表示されたW醇rrterbuch Mongolisch-Deutsch(モンゴル語-ドイツ語辞典)をクリックしてみると、書誌情報と所蔵図書館のリストが表示される。この辞書は国内の9箇所の大学図書館に所蔵されているようだ。「請求番号」も表示されるので、当該の図書館に行って手続きをすれば閲覧できるというわけだ。

モンゴル語研究文献はどこにある(2)

図書館の蔵書を探すためには、OPAC(オンライン蔵書目録)を利用すればよい。最近ではたいていの図書館でOPACを備えているので、専用の端末を利用して検索できる。もちろん、自宅のPCから検索して必要な資料の所在があきらかになったらそこに行って閲覧してもよい。以下の国立情報研究所によるOPACを利用すれば、各図書館(主に大学図書館)の蔵書を検索することができる。 http://webcat.nii.ac.jp/ (Webcat) とはいえ、やはりモンゴル語研究のための文献を所蔵する図書館は限られている。モンゴル語書籍を探すなら、以下のリンク集をたどって各図書館のOPACから検索したほうがよいだろう。 http://www.ndl.go.jp/jp/service/kansai/asia/directory/language_east.html#mon (モンゴル語書籍所蔵図書館のリンク集)http://asiaopac.ndl.go.jp/ (アジア言語OPAC) とりあえず、今日はこの辺で。

モンゴル語研究文献はどこにある(1)

モンゴル語を研究するためには、まず文献資料を入手しなければならない。当たり前といえば当たり前の話だが、英語などと違って、その辺の図書館に行ってぱっと借りたり、オンライン書店でぱっと注文したりとはなかなか簡単にはいかない。 モンゴル語研究の資料と一口にいっても、モンゴル語で書かれたものもあれば、他の言語でモンゴル語について書かれたメタ的なものもある。以下に、その主なものを分類してまとめてみた。 ��研究、分析の対象となる文献>・キリル文字モンゴル語資料・ウイグル式モンゴル語資料・他の文字によるモンゴル語資料 ��メタ的な研究文献>・モンゴル語によるモンゴル語研究書または論文・他の言語によるモンゴル語研究書または論文 「キリル文字モンゴル語資料」とは、主に近現代のモンゴル国で使用されてきたキリル文字表記によるモンゴル語で、この他、広義にはキリル文字を使って書かれたブリヤート語やカルムイク語の資料も含まれるだろう。「ウイグル式モンゴル語資料」とは、いわゆる縦文字で書かれたモンゴル語で、中世以降のモンゴル語資料、現代の内モンゴルで刊行されたモンゴル語資料、1942年の文字改革以前にモンゴル国で書かれたものなどである。数は少ないが、近年になってモンゴル国でもウイグル式モンゴル文字による文書が作成されている。「他の文字によるモンゴル語資料」というのは、たとえばパスパ文字やソヨンボ文字などで書かれたモンゴル語などで、その他、漢字で書かれた資料である『元朝秘史』やアラビア文字で記されたモンゴル語を含む対訳辞書の『ムカディマット・アル・アダブ』なども含まれる。 一方、モンゴル語研究について書かれた書籍または論文であるが、モンゴル語そのもので書かれたものと、モンゴル語以外の言語で書かれたものが存在する。モンゴル語によって書かれたものは、主にモンゴル国で刊行されたキリル文字モンゴル語によるものと、内モンゴルで刊行されたウイグル式モンゴル文字によるものである。その他の言語で書かれたものには、主に中国語、ロシア語、日本語、英語、ドイツ語、フランス語によるものなどがある。 これらの文献の入手方法としては、国内の外国籍書籍の蔵書が豊富な図書館から探す、外国図書を専門に取扱っている書店に注文する、自分で現地に行って購入する、海外にいる友人知人に頼んで取り寄せるなどの方法がある。もちろん、日本語で書かれた文献もかなり豊富にあるので、国内の図書館でモンゴル語関係の書籍を探してもよい。論文などはオンラインで全文が閲覧可能なものもある。海外の論文も同様である。残念ながら中国のサイトでは論文閲覧は有料のことが多いようだが、それでも探せばかなりの情報を収集することができる。さらに、ちょっとした情報だったら国内外のホームページを検索して知ることも可能だ。 ではまず、第一段階として、もっとも基本的な検索サイトの紹介から。http://www.google.com/intl/mn/ (モンゴル語版Google)http://cn.yahoo.com/ (中国語版Yahoo!)http://www.baidu.com/ (百度)

モンゴル語文献目録数種

既刊のモンゴル語書籍、定期刊行物、モンゴル研究書籍の書誌情報をまとめた本を集めたので、題名をメモしておく。 乌兰敖都 整理《蒙古报刊论文目录索引(1965-1985年)》内蒙古大学蒙古研究所, 1992.吉格木徳 領子 期古古冷 编《蒙古文图书目录(1951-1991)》内蒙古人民出版社, 1991.日本モンゴル学会『モンゴル研究文献目録(1900-1972)』, (発売元)株式会社ビブリオ, 1973.莎日娜 编《蒙古学研究参考工具书指南》内蒙古大学出版社, 2007.G.Kara, “The mongol and manchu manuscripts and blockprints in the library of the hungarian academy of sciences”, Budapest, 2000. 残念ながら、目録に書かれているすべての書籍は簡単に手に入るとは限らない。すでに散逸してしまったり、どこの図書館に保管されているか不明だったりするからだ。《蒙古学研究参考工具书指南》には、各文献の所蔵図書館名も記されていて便利だ。ほとんどが北京や内モンゴルにある図書館なので、どうしても閲覧したい資料があれば出かけていく必要があるかもしれない。運がよければ同じものを日本国内の図書館で閲覧できるだろう。 これだけでもモンゴル語研究のための文献をかなり網羅していると思うが、ロシアやドイツなどにもかなりの量の文献が存在するはずだ。故ハイシッヒ教授の蔵書目録など手に入らないだろうか。今度ちょっと調べてみることにしよう。

モンゴルの書函

中世のモンゴル語の本は、両面に文字が書かれた細長い紙が束ねられたもので、一枚一枚が綴じられずに独立しているものだった。このため、バリンタグと呼ばれる布にくるくると包んで保管するか、ショゴルという箱に収めて保管した。ショゴルは各お経のサイズに合わせて作られ、17世紀のものが広く使用されたという。主に良質の木材で作られ、茶や赤などで彩色が施された。また、彫刻や金彩色で縁取った模様による装飾なども行われた。ショゴルは主に木製だが、フェルトで作られることもあった。 バリンタグの画像は以下(モンゴル国立中央図書館ホームページより)を参照。 http://www.baigal.com/defaul1.jpg ショゴルの画像は以下(モンゴル国立民族図書館のホームページより)を参照。 http://www.nationallibrary.mn/PIC1/shogol.gif